佐藤:平成の終わりに、すでにその兆候があらわれています。私は天皇制を無力化させる存在がホリエモン的な思考の人たちだと見ているんです。「天皇は尊重します。でもそれはそれ。天皇制は横に置いて、まずはお金儲けをしましょう」。そんな論理の方が、1960年代、1970年代の天皇制廃止論者よりも、天皇家にとっては脅威です。
片山:ホリエモンもそうですが、保守派もぬるくて甘いから天皇制の基盤を揺らがせてしまう。大切なものだから筋を通して守り通す。守れなければ殉ずる。その覚悟と迫力がなければ、守れないものがあるはずです。いまの保守派には、筋も通さないで、筋を変えても残せればいいだろうという緩さを感じてしまう。味方の内実が天皇制の基盤を揺らがせているということですね。
佐藤:ポスト平成と天皇という文脈で注意してみていかなければならないのが易姓革命です。易姓革命とは徳がない天子に代わり、徳を持つ人が新たな天子になるという古代中国の考え方です。
これに倣えば、リーマンショック級の経済危機や東日本大震災級の自然災害が起きるたび改元を行うことができるようになる。
片山:幕末は黒船来航や災害など国難が続き、そのたびに、安政、万延、文久、元治、慶応とひんぱんに改元していて、もうわけがわからない。だから明治憲法で、元号を天皇の生き死にと結びつける一世一元の制を定めたわけです。
佐藤:今回の「譲位」によっても、従来の日本人の歴史感覚が崩れてしまうのではと思うのですが、片山さんはどうお考えですか。