女性の11人に1人が罹患するとされる乳がん。南果歩(55才)や北斗晶(51才)ら、罹患した多くの女性芸能人がメディアを通じて検診や早期発見の重要性を訴えているため、関心の高い女性は多いだろう。
東京ミッドタウンクリニックの森山紀之医師によれば、主な兆候はやはり「乳房のしこり」だという。
「しこりで乳がんに気づいたという患者さんは数多くいらっしゃいます。過去に国立がん研究センターで調査した際も3~4割の患者さんは、検診ではなく、自分でしこりに気づき病院を受診していた。わきの下を触ってしこりに気づいたというかたもいました。乳がんは、セルフチェックで発見できることもあります。片手の指4本をそろえて乳房にあて、硬いものがないか調べることを習慣にしてください」
ポイントは、手のひら全体を使ってまんべんなく乳房を触り、チェックすること。
詳しい方法は「日本乳がんピンクリボン運動」のホームページにも記載がある。
「その際に絶対にやってはいけないのは、硬いしこりをもみほぐしてしまうこと。しこりが良性の腫瘍である『のう胞』の可能性もありますが、もしがんなら全身に広がり、転移する可能性があります。もむのは危険です」(森山さん)
しこり以外の兆候もある。医療ジャーナリストの村上和巳さんが言う。
「乳輪のあたりに湿疹ができることがあります。特に乳頭の真下にがんができると、よく表れる症状です」
乳房そのものにもさまざまな変化が起きる。獨協医科大学総合診療科教授の志水太郎医師はこう解説する。
「左右の乳房の大きさが変わってきたり、胸が引きつったり、肋骨が痛んだりといった症状を訴えるかたもいます。赤い乳汁が出ることもある。心配になったら乳腺外科を受診して、専門医の検査を受けてください」
もう一つ。女性のがんとして罹患者が多いのは子宮頸がんだ。大阪大学が2019年2月に発表した調査によれば2000年以降、子宮頸がんの罹患者数は年々増加しているという。
「子宮頸がんは他のがんと違って、若い女性でも罹患しやすい。20代後半から増加し、40代前半までの患者数が最も多くなります。だからこそ、若い人にも兆候に気を配ってほしい」(村上さん)
早期発見のキーワードは「おりものと不正出血」だ。
「子宮頸がんに限らず、子宮体がんにも共通していえるのは、閉経後や生理と関係ないタイミングでの不正出血。異臭がするおりものが出てきたときも要注意です。特に子宮頸がんの不正出血は、性交後に起きることが多い。がんの腫瘍は触れると出血しやすいため、子宮の入り口にできる子宮頸がんは性交で出血しやすいのです」(森山さん)
子宮頸がんは進行が早いため、検診で異常がなくても、おりものと不正出血が続いたら、一度婦人科に相談してみよう。
※女性セブン2019年3月7日号