かつて国家的行事だった宮中祭祀は戦後、「皇室の私的行事」とされ、国民に知られることはほぼなくなった。しかし、森深い皇居の奥では、神聖かつ神秘的な祭祀が昔と変わらぬまま連綿と続いている。
祭祀を通じて神々への感謝と国家国民の安寧を願う天皇陛下の祈りは深い。一年の間にどんな宮中祭祀が行われているのか? 1月から6月に行われる宮中祭祀を紹介する。(祭祀・行事名、概要、出御・お出まし、の順)
通年【毎朝御代拝】
1年365日、毎朝午前8時30分、当直の侍従が潔斎(心身を清める)のうえ宮中三殿を天皇に代わり順次拝礼する。ご代拝の間、天皇はお慎み。これに先立ち内掌典が日々のお供え物を献じる。
通年【旬祭】
毎月1日、11日、21日に三殿で行われるお祭。原則として1日は天皇が御直衣姿で拝礼し、11、21日はご代拝にて行われる。1月1日は歳旦祭と称してより重んじられる。
1月1日【四方拝】
午前5時30分に天皇が黄櫨染御袍で神嘉殿の前庭にて伊勢の神宮、山陵及び四方の神々を遥拝する年初の行事。ご代拝は認められない。平安時代に始められた。天皇。
1月1日【歳旦祭】
四方拝の後、宮中三殿で皇祖・皇霊・天神地祇をまつる年始の祭典。2日、3日も掌典職による奉仕がある。天皇 皇太子(今年5月以降は「皇嗣」。以下同)。