ここには、自らのあるべき姿を探し続けた天皇の姿が映し出されている。国民に寄り添いながら30年──折々の場所から、平和を希求した天皇のお言葉は、静かに我々の胸を打つ。改めて天皇陛下の平成時代に紡がれたお言葉を振り返ろう。
●2018年12月20日・85歳の誕生日会見
明年4月に結婚60年を迎えます。
結婚以来皇后は、常に私と歩みを共にし、私の考えを理解し、私の立場と務めを支えてきてくれました。
また、昭和天皇を始め私とつながる人々を大切にし、愛情深く3人の子供を育てました。
振り返れば、私は成年皇族として人生の旅を歩み始めて程なく、現在の皇后と出会い、深い信頼の下、同伴を求め、爾来この伴侶と共に、これまでの旅を続けてきました。
天皇としての旅を終えようとしている今、私はこれまで、象徴としての私の立場を受け入れ、私を支え続けてくれた多くの国民に衷心より感謝するとともに、自らも国民の一人であった皇后が、私の人生の旅に加わり、60年という長い年月、皇室と国民の双方への献身を、真心を持って果たしてきたことを、心から労いたく思います。