芸能

芸人・千鳥の真価は関西ローカル『相席食堂』で発揮されている

千鳥はロケマスター芸人(イラスト/ヨシムラヒロム)

 1996年に『水曜どうでしょう』の放送が始まり人気を集め始めた当時、今のように動画サービスもなかったため、非放送地域だった東京在住者は録画を知人に送ってもらうなど、様々な工夫の末に番組を視聴していた。現在、ネットの動画配信サービスが充実してきたおかげで、ローカル放送番組であっても全国で楽しむことができる。ロケマスター芸人と呼ばれる千鳥が司会をつとめる関西ローカル番組『相席食堂』も、AmazonプライムやTVerなどで視聴できる。ローカル番組で発揮されている芸人・千鳥の真価について、イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が考えた。

 * * *
 観光地を巡ったり、街を歩いたり、地元民と交流したり、その土地が持つ魅力を紹介するロケ番組。風光明媚と映像の相性は高く、不動のテレビのコンテンツとして人気を集めている。最近、そんなロケ番組に新たな要素が……。制作陣が考えたオリジナル要素を“ちょい足し”することが流行している。

 ウルトラマンに登場したキャラクターの着ぐるみが観光する『ウルトラ怪獣散歩』、ドラゴンボールのモノマネ芸人が栃木の名所を紹介する『まろに☆え~るTV~とちぎの旅!』など。完成されたフォーマットにあえて異物を投入。マンネリを避けた「ポストロケ番組」とも例えられる番組が隆盛を迎えている。

 増えつつある「ポストロケ番組」、なかでも個人的にヒットしたのが『相席食堂』だ。司会を務めるのは、大悟とノブからなるコンビ・千鳥である。

「今ごろ?」と思われる方も多いだろう。僕はこの番組を通して千鳥の面白さをやっと理解できた。第3シーズンから参加したコント番組『ピカルの定理』では分からなかった。過去『SMAP×SMAP』が放送されていた枠で昨年、放送されていた『世界の村のどエライさん』でも気づかなかった。しかし、『相席食堂』の千鳥には声を出して笑ってしまう、ハハハッと。

 ハートウォーミングな番組名に騙されてはいけない。『相席食堂』は変態的な二面性を持つ番組。有名人が日本全国を訪ね、地元の人にいきなり相席をお願いする。「『鶴瓶の家族に乾杯』かっ!」と言いたくなるのが表面。そのロケVTRを千鳥がスタジオでモニタリング、これが裏面。ロケに不慣れなタレントがリポーター役を務めることも多く、“ロケマスター芸人”として鳴らした千鳥の常識では考えられない事態が頻繁に起きる。そのたびに2人は、目の前にある“待てぃボタン”を押す。「ちょっと待てい!!」の掛け声とともにVTRは一時停止、2人は勢いよくツッコミまくる。

 取材するリポーターのクセの強さを千鳥が解説することによって生まれる笑い。ロケ番組なのにも関わらず、メインはスタジオトーク。『相席食堂』はロケ番組というフォーマットそのものをいじっている。ありそうでなかった切り口が鮮やかだ。

関連記事

トピックス

中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
米国からエルサルバドルに送還されたベネズエラのギャング組織のメンバーら(AFP PHOTO / EL SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE)
“世界最恐の刑務所”に移送された“後ろ手拘束・丸刈り”の凶悪ギャング「刑務所を制圧しプールやナイトクラブを設営」した荒くれ者たち《エルサルバドル大統領の強権的な治安対策》
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
中居正広氏とフジテレビ社屋(時事通信フォト)
【被害女性Aさん フジ問題で独占告白】「理不尽な思いをしている方がたくさん…」彼女はいま何を思い、何を求めるのか
週刊ポスト
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《食道がん公表のとんねるず・石橋貴明(63)》社長と所属女優として沈黙貫く元妻の鈴木保奈美との距離感、長女との確執乗り越え…「初孫抱いて見せていた笑顔」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン