「これを書いたらクビになる」──国会や首相官邸で日々取材する政治部記者には、見聞きしても絶対に書けない記事がある。首相や官房長官、与党幹部が番記者にふと漏らした本音は、「夜回りメモ」や「オフ懇メモ」として本社のデスクに報告されるが、決して紙面に載ることはない。
しかし、本来そうした話こそが、この国の政治に何が起きているかをありのままに知ることができる生の情報なのだ。
天皇の代替わりを控え、内政では7月の参院選と10月の消費税増税という国民生活を左右する政治日程がある。外交はロシアとの領土交渉など大きな変化を迎えている。
そこで覆面政治部記者座談会を開催し、“核心”に迫ることにした。本誌の呼びかけに、政権に食い込みながらも“冷めた目”で権力を分析するデスククラスのA氏、首相官邸や自民党を長く担当して主流派、反主流派のどちらにも太いパイプがあるベテランB氏、そして夜回り取材の第一線で飛び回る中堅の2人、“安倍肯定派”のC氏、政権に距離を置くD氏という政治部記者4人が匿名を条件に応じた。