東日本大震災から間もなく8年となるなか、震災後、東北の人たちの“手仕事”によってつくられた製品を販売するフェアが開催され、話題を読んでいる。
このほど刊行された、ライター・飛田恵美子さんの著書『復興から自立への「ものづくり」福島のおかあさんが作ったくまのぬいぐるみはなぜパリで絶賛されたのか』(小学館)の出版を記念したフェア。
同書は、震災後に生まれたものづくりによる復興プロジェクトを紹介するウェブサイト「東北マニュファクチュール・ストーリー」に掲載されたものづくりの物語から21話を再編集したもの。たくさんのものを失った人たちが、手を動かし、ものをつくることにより、いかにして仕事や収入、生きがい、仲間、新しい居場所を見つけ、立ち上がっていったのかが飛田さんの丁寧な取材によりつぶさに綴られている。
東京・千代田区の「神保町ブックセンター」(3月31日まで開催)では、同書で紹介された5団体の製品が販売されている。岩手県の福祉作業所で働く障害のある人たちが製作した、地域新聞などのゲラを和綴じした自由帳『ゲラメモmini』や、宮城県南三陸町のお母さんたちが「一緒に頑張ろう」というエールを込めて製作したバッグ『おらほもあんだほもがんばっぺし!Bag』など、東北の人たちの丁寧な手仕事ぶりがわかるものばかり。店内には棚の前で足を止めて熱心に見入る人の姿もあった。
渋谷区の「代官山 蔦屋書店」では3月6日からフェアがスタート。同書で紹介され、そのものづくりエピソードがサブタイトルにもなった福島県会津若松市の団体「會空」が製作したくまのぬいぐるみが販売され、人気を集めている
震災後、東北の各地で立ち上がったこうしたプロジェクトのなかには、復興という目的を超え、地域ビジネスに成長したものも多い。その成長のプロセスには、人口減少、少子高齢化、産業の衰退など、いま全国の地方が直面する課題解決へのヒントがちりばめられている。
今回のフェアは、まちをつくり、未来を切り拓くイノベーションがどうやって生み出されたのかを知る、いいきっかけとなりそうだ。