平成最後の大学入試もいよいよ大詰め。国公立大前期試験の合格発表が終わり、私立大の2月試験の発表もほぼ終了した。
私立大の志願者は現段階で昨年に比べて4%増で、13年連続志願者増となりそうだ。少子化で受験生数は減っているが、併願校を増やす受験生が多いため志願者増となった。国公立大も志願者が増え、7年連続志願者減に歯止めがかかった。国公立大は国立大の志願者が微減で、地方を中心に国立大より難易度が低い公立大が人気になった。
今年、私立大の志願者は異変が起きた。早慶上理(早稲田、慶應義塾、上智、東京理科)では、東京理科大を除いて志願者減。MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)では2学部を新設した中央大を除いて志願者減。関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)では、関西大を除いて志願者減となった。昨年は慶應と関西学院を除き、すべて志願者増だったので、今年は難関上位大で志願者減が目立ったのだ。
その一方で、今年、目立って増えたのは中堅から下位の大学だ。難易度が50未満の大学で大きく志願者が伸びている。安全志向が顕著になった。入試はこれまでと異なり、曲がり角を迎えているといえる。
このような安全志向になった理由としては大きく二つ考えられる。ひとつは2016年から始まった定員の厳格化によって合格者を減らした大学が多く、難易度が上がったことだ。受験生は現役での進学志向が強く、難化した上位大を敬遠したと見られる。
もう一つが再来年から始まる大学入試改革だ。センター試験を廃止して、新しく大学入学共通テストが始まる。そのため、来年の入試は、最後のセンター試験を受けることになる。
来年の受験生は浪人すると大学入学共通テストを受けなければならなくなり、外部の英語試験を受けたり、国語と数学にマーク式以外の記述式問題が加わったりする。今までと異なり新たな対策が必要となるため、今年以上に現役での進学を目指すと予測されている。
となると、今年以上の安全志向となることは確実で、入試は混乱すると予測されている。そこで、今年の入試で浪人すると、その新たな入試に巻き込まれ、今年以上に合格を勝ち取るのは難しいとの考えが、現役進学志向に拍車をかけたと見られる。
大都市圏の私立大入試の難化を促進した定員厳格化だが、今年は文科省の縛りが昨年並み(大手大学で定員の1.1倍未満)に落ち着いた。そのため、合格者を増やす大学も多かった。
例えば、MARCHでは法政大を除いて合格者を増やし、現段階で合計2866人増えている。志願者が減って合格者が増えたのだから、MARCHには入りやすくなったはずだ。ところが、高校からは「MARCHで生徒がバタバタ落ちている」「今年も自校の大学合格実績の伸びが期待できない」などの声が漏れてくる。
これは合格校に変化が見られたことが要因ではないだろうか。今年のMARCH合計の合格者出身高校別人数を見ると分かる。