どんな薬にも、必ず効能などの「メリット」、副作用などの「デメリット」がある。その両方を天秤に掛け、患者にとってメリットのほうが大きいと判断されたときに薬が処方される。だが、その判断が必ず信頼できるとは限らない。
そこで、病気の専門家である医師に「もし患者になったら、どの薬を飲まないか」とぶつけた──。
「私が患者だったら飲みたくないと思うのはアクトスですね。患者さんにも、もう10年以上処方していません」
銀座泰江内科クリニック院長の泰江慎太郎医師(糖尿病内科)が挙げたのは、糖尿病患者に処方される、インスリンの効きをよくする薬だ。その理由をこのように説明する。
「発売当初は急性心筋梗塞や脳梗塞の予防にも効果があるとして人気でしたが、2010年ごろから欧米で膀胱がんが有意に増えるリスクが指摘され、フランスやドイツでは処方を控えるよう通達が出されています。
その後、膀胱がんだけでなく心不全、骨折が増えるとの研究結果も出ている。最近は様々なタイプの糖尿病薬が出ているので、他の薬との相性が合わない体質でない限り、飲まないという判断になる」