七菜乃と大塚咲が初めて出会ったのは3年前。お互いにヌードモデルという「撮られる側」と写真家という「撮る側」を兼ねる特異な存在であるが、2人が意気投合するのに時間はかからなかった。
「2度目に会う時がもう撮影でした(笑い)。熱海の旅館に泊まりに行ったり、ナナちゃんの実家の庭で撮ったり。季節を変えながら、この3年間に10回くらい撮影しました」(大塚)
それらの作品を初めて発表する写真展のタイトルは「≒」(ニアリーイコール)。「ほとんど等しい」を意味する記号には、「似ているけれど、同じではない」という思いを込めた。
「同じ場所で撮影しても、気がつけば全然違う写真を撮っている。考え方は似ている部分があるけれど、作風や撮りたい世界はたしかに違う。違うからこそお互いを尊重しながら肩の力を抜いて撮ることができました」(七菜乃)
創作の源として2人に共通するのは「反発心」だという。
「女性としての生きづらさを感じてAVの世界に飛び込みましたが、こんどは自分の体が消費されることに嫌気が差して、セルフヌードを撮るようになったのが写真との出会い。社会からの押しつけへの反発心はヌードを撮る理由の一つです」(大塚)