NHK連続テレビ小説『まんぷく』ではヒロイン・福子役の安藤サクラ演技が光っているが、もう1人注目を集める女優がいる。福子の娘・幸を演じる小川紗良(おがわ・さら、22歳)だ。テレビ解説者の木村隆志さんがその魅力に迫る。
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残り十数話になり、大詰めの『まんぷく』。萬平(長谷川博己)を中心に、「まんぷくヌードル」の開発に取り組む裏側で、もう一人の主役となっているのが、ヒロイン・福子(安藤サクラ)と萬平の娘・幸(小川紗良)。
アメリカ人・レオナルド(ハリー杉山)に好意を寄せ、家の前でハグされてときめくなどの淡い恋模様で、母・福子や祖母・鈴(松坂慶子)のみならず視聴者をハラハラさせています。
可憐な幸の姿を見た視聴者から、「あのかわいい子は誰?」という声が飛び交うなど、終了間際の3月から登場したにも関わらず、一躍注目の存在になった小川紗良さん。実は、このところ業界内で「前例のない大器」と注目を集める存在だったのです。
◆演技に加え、演出、文章の才能も
小川さんは昨年、映画4作、ドラマ2作に出演しました。特に昨秋のドラマ『ブラックスキャンダル』(読売テレビ・日本テレビ系)では、1話でいきなり枕営業を強いられる清純派女優・小嶋夏恋を熱演。最後までヒロインに関わるキーパーソンを演じて、今回ほどではないものの「あのかわいい子は誰?」と話題になりました。
年をまたいで迎えた朝ドラ『まんぷく』での演技も、軒並み高評価。福子、萬平、鈴、克子(松下奈緒)、忠彦(要潤)、タカ(岸井ゆきの)など、すでにおなじみのメンバーに途中参加するのは若手女優にとって難しいことですが、小川さんはすんなり溶け込み、外国人との恋愛も含め、違和感なく演じています。
さらに小川さんは、今春スタートの『やすらぎの刻~道』(テレビ朝日系)と『向かいのバズる家族』(読売テレビ、日本テレビ系)にも出演予定であり、まさにブレイク寸前の状態なのです。
しかし、それだけでは「若手有望株の女優」に過ぎず、「前例のない大器」とまでは言われません。小川さんが業界内で注目を集めているのは、「女優、映画監督、文筆家の“三刀流”女子大生だから」なのです。
在学する早稲田大学で『万引き家族』などで知られる名匠・是枝裕和監督から学び、手がけた3作すべてがさまざまな映画祭で上映されるなど、映画監督としての将来も有望視されているのです。また、雑誌やウェブなど数多くのメディアに寄稿し、豪華執筆陣が名を連ねる『水道橋博士のメルマ旬報』で連載を持つなど、編集者たちから文章の才能も認められています。
しばらくは「女優業を本格化させながら、タイミングを見計らって映画監督をし、コンスタントに文章も書いていく」という活動になるのでしょう。小川さん自身、「すべての活動がつながっている」と話しているように、異なる3者の視点を持つことが、それぞれの仕事にいい影響を与えるようです。
◆『あさが来た』吉岡里帆に似た気配