インターネットの普及は人々に多くのメリットをもたらしたが、ネットの普及のスピードに追いついていないのが、著作権侵害に対する認識だ。ネットで著作権侵害された場合、どのような対処法をとれば良いのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
タレント活動をしています。一昨年からネットを活用し、自分の活動状況などをブログやSNSで発信しているのですが、たまに自ら考案した格言なども載せています。問題なのは、その格言を「転載不可」としているのに、勝手に他のサイトで流用されていること。何かよい手立て、対処法はありませんか。
【回答】
格言とは「人生の真実や機微を述べ、万人への戒め・教訓となるように簡潔にした言葉」です。短文であっても、決まりきったありふれた表現だったり、知られた格言の焼き直しでなければ、「思想又は感情を創作的に表現した」著作物として著作権法で保護されます。
この格言をネットにアップして転載不可と断わった以上、勝手な流用は違法な複製であり、著作権の侵害となります。例外は流用者が自身の文章の中で、あなたの格言を明瞭に区別し、批評や比較の対象として著作権者を明示した上で引用する場合だけです。なので、著作物の違法な複製を行なう者に対して著作権者は、その侵害の停止を請求することができます。
ネットだと、誰が流用しているか簡単にはわかりませんが、プロバイダー責任制限法に基づき、情報の流通で権利が侵害していることが明らかであって、損害賠償請求するために必要である場合には、ネットサイトの運営業者に、流用している投稿の発信者の氏名等の情報を開示するように請求できます。サイト運営者自体が不明の場合は、ネット上の「whois」検索サービスを利用することで知ることもできます。