スポーツ

羽生結弦の「王者の系譜」 ニジンスキー研究第一人者が解説

羽生結弦には王者としての風格が漂う(時事通信フォト)

◆フィギュアスケートの創始者はバレエダンサーだった

 世界フィギュアスケート選手権が目前に迫っている。出場選手のなかでも注目を集めているのが羽生結弦選手だろう。昨年11月、グランプリシリーズのロシア大会で右足首を怪我し、その後の大会を欠場した。怪我の状態が気になるところだが、5年ぶりとなる日本(埼玉)開催の今大会でどんな演技を見せてくれるか。ファンの期待は大きい。

 五輪2連覇という偉業を達成後の今シーズン、羽生選手が選んだフリープログラムは「Origin(オリジン)/起源」だった。これは、羽生が子どもの頃から敬愛するエフゲニー・プルシェンコがかつて使用した曲「ニジンスキーに捧ぐ」を原曲としてアレンジした作品だ。

 プルシェンコはこの「ニジンスキーに捧ぐ」で、ロシアの国内選手権で、審判全員から芸術点「6.0(満点)」を得ている(2003~2004年シーズン/当時は旧採点方式)。「ニジンスキーに捧ぐ」が「伝説のプログラム」と呼ばれるゆえんだが、そもそも、「ニジンスキー」が伝説のバレエダンサーだった。

 あらためて、羽生選手がいま「Origin」を滑る意味とはなにか? 羽生選手の「Origin」とプルシェンコの「ニジンスキーに捧ぐ」、そして伝説のバレエダンサー・ニジンスキーをつなぐものとは? 盛り上がること必須の世界選手権を前に、舞踊評論家で、ニジンスキーの伝記の著者であり、有名な『ニジンスキーの手記』の訳者でもある、法政大学名誉教授の鈴木晶氏に聞いた。まず、バレエとフィギュアスケートの深い関係について鈴木氏は指摘する。

「人間は、石器時代からスケートをしていたといわれています。なぜわかるかというと、動物の骨を削って履いたと思われるブレードの跡が残っているからです。ただスケートは遊びではなく、生活の手段だったわけですが、このように、スケート自体は非常に古いものです。

 一方、現在私たちが見ているようなフィギュアスケート──つまり、ジャンプや回転をする競技が生まれたのは19世紀の中ごろでした。その基礎を築いた一人が、ジャクソン・ヘインズというアメリカ人です。彼はシットスピンを開発した人物としても知られ、ヨーロッパで大変人気を博します。そして、これが言いたかったことですが、彼はもともとバレエダンサーだった。つまり、フィギュアスケートは、バレエを元にして生まれた競技といえるのです」

 現在、レッスンにバレエを取り入れているスケーターは多い。フィギュアスケートとバレエの親和性の高さは、選手のみならず、見る者も認めるところだろう。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン