平成最後の入試も国公立大の前期合格発表が終わり、大詰めを迎えている。最難関の東京大学、京都大学の大学合格者出身校別人数(3月15日現在のデータ)では、これまでとは異なる傾向が明らかになってきた。大学通信・常務取締役の安田賢治氏が、今年の東大・京大入試を総括する。
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今年の東大合格者の出身高トップは開成(東京)の188人で、38年連続トップを堅持。これで開成は平成時代すべてトップとなった。内訳を見ても、理IIIを除き、すべての学類でトップに立った。
東大ランキングでは、今年は大きく躍進した学校が目立った。渋谷教育学園幕張(千葉)は昨年に比べて24人増の72人。昨年は一昨年の78人から48人に激減していたので、それが戻ったと見られる。
聖光学院(神奈川)は21人増の92人で過去最高の合格者数だ。大手塾によると、海外留学体験や音楽体験、OBや専門家の話を聞く機会を設け、生徒のモチベーションを上げる教育が実績に結びついたのではないかと言う。それでいて受験の面倒をしっかり見ていることも大きい。
今は詰め込み教育で、難関大合格者を増やすのには限界があることが明らかになってきている。やはり、さまざまな体験を通し、好奇心を持たせることが、一見、遠回りなようだが、大学合格実績の伸びにつながるようだ。
体験学習、フィールドワークなどに取り組み、学校行事、部活動に力を入れる。アクティブラーニング、パソコンを使ったICT教育などを行い、それでいて学習にも力を入れるバランスの良い教育を行っている学校が伸びているようだ。
今年、初めて東大トップ10に入ったのが久留米大付設(福岡)だ。昨年より27人合格者が増え50人が合格した。福岡の学校がトップ10に入ったのは初めてのことになる。久留米大付設は医学部に強い学校として知られるが、1990年の51人合格以来29年ぶりの50人合格となった。共学化後はじめて6年一貫の女子が卒業し、この飛躍につながったと見られる。
ちなみにホリエモン(堀江貴文氏)の母校としても有名だが、ホリエモンは1991年に東大に合格(文学部中退)。今年もテレビの企画で東大受験にチャレンジしたが、残念な結果となったようだ。