皇太子殿下は新天皇の覚悟ができている。それも遙か昔、若かりし頃からだ。神道学者の高森明勅氏が、25歳当時の皇太子殿下がおっしゃられた言葉から、壮絶な覚悟を国民のために受け継いでおられる事実について、解説する。
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皇太子殿下は5月1日から天皇(126代)になられる。「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」(憲法1条)という重い地位につかれるのだ。その地位へのご覚悟のほどを示すエピソードがある。昭和60年、2年間の英オックスフォード大学留学を終えられて、ご帰国の途次、ニューヨークに立ち寄られた時のこと。
その頃、メディアはどこかでお見合いをするのではないかと、殿下を執拗に追い回していた。そんな中、産経新聞の記者がいたたまれなくなって、現地で殿下に「申し訳ありません、かけがえのない自由を楽しまれておられる時間にお邪魔ばかりしておりまして」とお詫びした。すると殿下は、微笑を浮かべられ、きっぱりとこうおっしゃられたという。
「いいえ、自由は2年間オックスフォードでじゅうぶん堪能しましたから」と。
このお答えに驚いた記者は次のように書いている。
「たった2年間の自由。それだけでじゅうぶん堪能したといわれる殿下。この返答には今後は天皇家のご長男としてひたすら国民のことだけを考えて『天皇の道』を歩まれる『覚悟』が示されている。もう自分の人生には自由はない。25歳の青年が示したなんと壮絶な『覚悟』ではないか」(産経新聞、平成5年1月31日付)