連載から40年以上経った今も絶大な人気を誇るレース漫画『サーキットの狼』。週刊ポストが読者700人超を対象に行なった「好きなクルマ・バイク漫画」アンケートでも第1位に輝いた。著者・池沢早人師(旧名・池沢さとし)氏が、連載時の秘話を語った。
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今でも「『サーキットの狼』のファンです」と言ってくれる人がいると嬉しいですね。車関係や出版社、レーサーの人たちに、「『サーキットの狼』のおかげでこの道に入った」という人たちに何百人も会いました。中にはクルマにハマりすぎちゃって「人生狂わされた」って言う人もいましたけど(笑い)。
よくスーパーカーブームのキッカケを作ったなど言われますが、実は連載開始時の人気はいまひとつだったんです。『少年ジャンプ』はアンケート重視で人気がすべて。結果が出ない『サーキットの狼』を打ち切ろうという話が出ていたんです。
でも、自分の中では手応えは確実にありました。漫画家の中でも筆は速い方でしたからとっとと仕事を終えると、よくドライブに出ていました。主人公と同じロータスに乗っていましたから、信号待ちの時などは、子供たちが駆け寄ってきて写真を撮っていくんですよ。それが連載を追うごとに増えていく。人気が上がっていくのを肌で感じていました。その手応えは、打ち切りが告げられた翌週のアンケートでいきなり1位という結果で表われました。もちろん打ち切り話は消滅です。
もっとも思い入れのあるシーンは、前半のクライマックス、初のメインレースとなる「公道グランプリ」のフィニッシュシーンです。車体がひっくり返ったままゴールするシーンは、実話を元にしたものなんです。