“歴女ブーム”が叫ばれて久しいが、彼女たちの関心の対象は、戦乱の世を戦い抜いた武将に留まらず、「花街」にまで広がっている。花魁道中を江戸時代さながらに再現するイベントや、着付けや化粧を施す花魁体験が人気を集め、成人式の振り袖や花嫁衣装に花魁風のデザインを選ぶ若い女性も増えているという。
そんな中、吉原遊郭を徹底研究し、著書まで出版した女性がいる。『吉原はスゴイ 江戸文化を育んだ魅惑の遊郭』(PHP新書)を上梓した堀口茉純氏(35)だ。
堀口氏は大学時代に演劇論を学び、女優として活動中。一方で、歴史好きが高じて江戸文化の研究に熱中。2008年には江戸文化歴史検定1級に当時最年少の25歳で合格した。「江戸に詳しすぎるタレント」、アイドルならぬ「お江戸ル」の異名を持ち、江戸の文化や歴史に関する講演活動も行なっている“美歴女”だ。なぜ堀口氏は、それほどまでに吉原遊郭に惹かれたのか。
「私はもともと“もしタイムマシンがあったら、江戸時代の桜の季節の吉原に行って、花魁道中が見てみたい”と思っていました。でも、講演会でそのことを話すと、『破廉恥』とか『不謹慎』という反応が少なからずあった。吉原遊郭がアンタッチャブルな話題になっているのだと思いました。
しかし、吉原遊郭は幕府に認められた“公に開かれた場所”で、遊女たちは独自のルールにもとづき、プロ意識を持って働いていた。私はそんな女性たちのプライドや強さに興味を持ったんです」
◆「遊女は“憧れの的”だった」