歴史的大事件からスキャンダルまでNHKが生み出す異端ドキュメンタリー番組『アナザーストーリーズ 運命の分岐点』(NHK BSプレミアム、火曜日21時~)が静かな人気を集めている。歴史的な大事件からスキャンダラスな話題まで、世界を揺るがした出来事の当事者たちによる3つの視点で番組を構成、知られざる“アナザーストーリー”が浮き彫りにされる番組だ。
NHKには『NHKスペシャル』を筆頭に、様々なドキュメンタリー番組があるが、『アナザーストーリーズ』はポルノ、ヤクザ、オネエなど、刺激的なテーマにも果敢に挑んできた。話題になった放送を紹介しよう。
【「日本が揺れた!消費税導入の舞台裏」(2018年7月17日放送)】
平成元(1989)年4月1日に始まった消費税。新税導入までの舞台裏では、様々な闘いが繰り広げられていた。当時の大蔵省主税局審議官(後に主税局長)、税制第2課長が登場、苦闘の秘話を語る。
消費税法案成立の裏側を証言するのは、与野党の激しい攻防や駆け引きの一部始終を目撃した衆議院事務局職員(当時)。導入決定からスタートまでの98日間、顧客のレジを消費税に対応させるために社員総出で東奔西走したレジスターメーカーの奮闘も紹介する。
【「そして田中角栄は首相になった ~44年目の証言~」(2016年12月7日放送)】
今なお根強い人気を誇る田中角栄元首相。激烈を極める戦いに勝ち、天才的な人心掌握術で権力の頂点に上り詰めた男の実像を、ライバル、後援会、番記者の3つの視点で紐解く。
事実上の総理の座を射止めた1972年7月の自民党総裁選の舞台裏を、当時の政敵・福田赳夫氏の元秘書が語る。死闘を繰り広げた角福戦争の真実とは。「政治家・田中角栄」を生んだ金脈の原点を掘り起こした新潟日報社の番記者(現・社長)の証言も興味深い。