ポルノ、ヤクザ、オネエ……NHKらしからぬ刺激的なテーマに果敢に挑むドキュメンタリー番組『アナザーストーリーズ 運命の分岐点』(NHK BSプレミアム、火曜21時~)が静かな人気を集めている。
歴史的な大事件からスキャンダラスな話題まで、世界を揺るがした出来事の当事者たちによる3つの視点で番組を構成、知られざる“アナザーストーリー”が浮き彫りにされる。初代ナビゲーターは真木よう子、2代目は沢尻エリカ、現在放送中の3代目は松嶋菜々子、ナレーションは番組開始当初から濱田岳が務める。
放送前から番組内容自体が“ニュース”になったのが、2016年の「ロマンポルノという闘い 日活・どん底からの挑戦」【*】だ。
【*1970年代、経営難に陥っていた名門・日活が起死回生の策として、ポルノ路線に大きく転換した。「10分に1度の濡れ場」「制作日数7~10日」「制作予算750万円(従来3000万円)」「上映時間70分以内」の条件を課された現場の葛藤と覚悟、知られざる舞台裏を多くの関係者が証言。後に『セーラー服と機関銃』を手がける映画プロデューサーの伊地智啓氏や『リング』を監督する中田秀夫氏をはじめ、女優やスタッフらが今だから語れる思いや秘話を明かした。2016年11月16日放送】
作品の濡れ場シーンも全裸の女性もそのまま映し出し、お茶の間を騒然とさせた。「NHKなのに大丈夫か?」と視聴者までもが心配する衝撃的な回だったが、制作に踏み切った“分岐点”を番組プロデューサーの久保健一氏はこう打ち明ける。