今年の私立大学入試は、全体の志願者数は増加したものの、定員の厳格化によって受験生の安全志向が強くなったために、難関大学の志願者はむしろ減って難易度が上がるという結果に終わった。その影響からか、早稲田・慶應の合格高校ランキングは常連の進学校がズラリ。大学通信・常務取締役の安田賢治氏が今年の早慶入試を総括する。
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今年の私大入試は志願者が4%以上増えた。少子化が進む中で志願者が増えているのは、受験生が併願校を増やしたことに他ならない。定員の厳格化で難関大の難易度が上がっていることに加え、来年はセンター試験最後の年。今年以上の安全志向になると見られるため、今年中に合格を決めたい受験生が多かったのだ。
それは早稲田大、慶應義塾大も例外ではない。今年は両校とも志願者が減った。早稲田大の志願者は5%(5871人)減で11万1338人。早稲田大は初めて私立大志願者数ランキングで5位に落ちた。慶應義塾大は2年連続の減少で、志願者は3.3%(1426人)減の4万1875人だった。
学部別の志願状況では、早稲田は法が昨年に比べて8.3%、国際教養が8.5%の志願者増。2学部とも今年の入試で人気になった学部だ。慶應では医学部が0.2%、環境情報が6.5%の志願者増だった。
逆に大きく減少したのは、早稲田では教育で15.9%減、社会科学も14.1%減で、ともに2000人以上の減少だった。教育は今年から一般入試の募集人員を減らしたため敬遠され、社会科学は学内併願がもともと多く、それが減ったと見られる。理系より文系学部の減少幅が大きく、安全志向が顕著だった。
一方、合格者を見ると、定員近くに入学者を絞る国の政策が2016年から始まったことにより、私立の各大学は合格者を減らしている。早慶の当初合格者は、早稲田は5人減の1万3962人、慶應は78人減の8113人と、ほぼ昨年並みだったものの、3年で早稲田大は3749人、慶應義塾大は728人減らしている。やはり定員厳格化の影響は大きい。