共同声明も出されず、決裂した米朝会談。日本メディアではほとんど報じられていないが、1か月前に会談が行われたベトナムの首都ハノイでは、金正恩の“追っかけ”のような韓国人女性たちが集まっていた。現地を取材したフォトジャーナリストの村山康文氏が報告する。
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金正恩朝鮮労働党委員長は核を手放すと約束するのか、トランプ米大統領は制裁緩和に踏み切るのか──世界中が注目したベトナムでの第2回米朝首脳会談。ベトナムメディアはもちろん、各国から総勢2600人(トイチェ新聞Web 2月22日付)もの外国人記者がハノイに集結し、会談の動向を見守った。
私が現地に入ったのは、会談前の2月25日。ハノイの街なかは、あちこちに米朝越の国旗が翻り、要所に立て看板が立つなど、歓迎ムード一色だった。ハノイ旧市街で出会ったベトナム人青年は、金氏とトランプ氏が前面にプリントされたTシャツを身にまとい、「米朝会談が成功するように期待している」と笑顔で話した。
会談が近づくにつれ、街の喧騒はより激しくなる。トランプ氏の宿泊したホテルや金氏が宿泊したメリア・ハノイ・ホテル(以下、メリア・ホテル)、会談会場となったソフィテル・レジェンド・メトロポール・ハノイ(以下、メトロポール)の周辺にはベトナムの市民やメディアが大勢詰めかけた。中でも異質だったのが、(金氏が姿を見せる可能性がある)メリア・ホテルとメトロポール周辺だ。そこで私は、取材場所の確保に慌てふためく報道陣に紛れて、一種異様ともいうべき光景を目の当たりにした。
26日午後──金氏のメリア・ホテル到着後、ホテルを取り巻く大勢の群衆の中に、ひと際目立つ韓国人グループの姿があった。人数は10人ほどか。団体のリーダーと思われる若い女性は、ロシアの民間新聞イズベスチア社の取材を受けている。