1996年、若貴フィーバー真っ只中に生まれた新大関・貴景勝(22才)は、当時、現役横綱として相撲界を盛り上げていた貴乃花から一字をとって「貴信」と名づけられた。
その名前に導かれるように、小学3年生で相撲を始め、兵庫・芦屋の実家から東京にある貴乃花部屋まで稽古に通った。
平成最後の場所となった大阪場所の千秋楽を振り返って、「小学校3年から何を目指してやってきたのか、もう一度頭に入れ直した。わんぱく相撲でも体の大きな人たちの中でやってきて、自分は体が小さくて、優勝とかできなかったけど、何とか自分の体を武器にしてやれる相撲を目指してやってきたことを思い出した」と本人が語ったように、彼の武器は自身の体をフルに使い、前へ前へと出る突き押し。
身長175cm、体重169gと幕内で2番目に小さいながらも、そのパワフルな攻めで横綱・鶴竜(33)や、大関・高安(29)に土をつけ、念願の大関昇進を果たした。
「さらにもう1つ上の番付を目指して日々やっていきたい」──小さな巨人は“小さな横綱”というさらなる高みを目指し、スタートを切っている。
今場所も何度も会場に足を運び息子を応援した父・一哉さん(左)と母・純子さん(右)。「心も体も健康に頑張ってほしい」と願う母と、「横綱を目指さないといけない」と鼓舞する父、両親の応援に貴景勝は「勝ててよかった」とホッとした様子だった。