4月に行なわれる統一地方選を前に、永田町が慌ただしい。政権中枢にいる議員らの発言ばかりが逐一取り上げられているが、趨勢を決める“鶴の一声”は実は地方から発せられる。
東京都議会では連日、自民党が小池都政を追及して大紛糾しているが、かつて「都議会のドン」と呼ばれた内田茂・元東京都議(80)が“影の司令塔”として存在感を強めているという。
「地方のドン」は他にもいるが、そうした大物地方議員にとって、統一地方選は書き入れ時だ。彼らがドンへとのぼる階段は、自分の手で知事をつくり出すこと。
例えば、当選9回を数える愛知県議会の実力者、水野富夫・県議(69)は大村秀章・知事をバックアップし、神奈川では、小泉純一郎・進次郎父子を支えてきた横須賀選出の竹内英明・県議(68)が黒岩祐治・知事を擁立することで「県議会のドン」にのしあがった。
その一方で、今回の統一地方選では、各地でドンの引退が相次ぐ。「竹下王国」と呼ばれる島根では、竹下登・元首相の時代から“国家老”として県政を仕切ってきた浅野俊雄・県議(88)が引退する。その途端に、“クーデター”が勃発した。
元首相の実弟で県連会長の竹下亘・前自民党総務会長が知事選に元消防庁次長を擁立したのに対し、竹下系県議14人が別の総務官僚を担いで造反したのである。県議の1人はこう突きつけている。
「都会と地方の格差の中で、地方出身の国会議員が必死に地方を守る姿勢を見せてくれない。島根県をわかった者が考えてやるべきだ」