パニック障害は、珍しい病気ではない。芸能人だけでなく、一般人として生活している人にも発症例が多い。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、患ったことで『がんばらない』にたどりついたパニック障害について綴る。
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ジャニーズの人気グループ、セクシーゾーンの松島聡(21)が療養のため一時休業に入った。病名はパニック障害。1年ほど前から体調を崩していたようだが、症状がひどくなり、ついに休業。「大変戸惑いショックを受けている」と心境を発表した。
同じ事務所所属の岩橋玄樹(キング&プリンス)も、パニック障害で休業中だ。ネットで検索すれば、過去にパニック障害を経験した芸能人の名がズラリ。あの人もそうだったのか、とその多さに驚かされる。
それもそのはず、パニック障害は珍しい病気ではない。突然、激しい動悸や呼吸困難、吐き気、めまい、発汗などが起こり、死んでしまうのではないかという恐怖に襲われる。20~30代に多いが、40~50代も少なくない。やや女性に多い。生涯のうちに発症する人は100人に1~2人といわれている。
そもそも人間には、予想外のとんでもないことが起きたとき、命の危機から身を守ろうとする反応が備わっている。心拍数を高め、全身に血液を送り出し、その場で闘うか、逃げるかして生き延びようとするのだ。
このとき、脳のなかではどんな反応が起きているのか。まず、危険を感じると、脳が神経伝達物質のノルアドレナリンを出して、心拍数や血圧を高める。その刺激が感情を司る大脳辺縁系に伝わり、不安や恐怖となって、“警報”を出す。ところが、この“警報”が、危険がないのに作動してしまうことがある。これがパニック発作のしくみではないか、と一説に考えられている。どうして脳が誤作動を起こすのか、原因はわかっていない。ただ、この発作、体験してみると相当つらい。