非上場企業のサントリーHDで初の外部出身経営トップとなって4年余り。新浪剛史・社長体制下で、サントリーは米ビーム社との統合など、世界規模の経営戦略に乗り出している。三菱商事を経てローソンの社長を経験し、「プロ経営者」とも呼ばれる新浪社長は、新時代に向けてどう動こうとしているのか。(聞き手/河野圭祐=ジャーナリスト)
◆「悠々として急ぐ」経営
──外部から招かれた新浪さんと創業家との関係は?
新浪:佐治(信忠)会長とは週に一度は話していますが、「時々は立ち止まって考えなさい。経営者は全体像を見て、大所高所から判断しなければダメだ」とよく諭されます。私は率先して走り回り、むしろ走りながら考えないと逆に息切れするタイプ。だからこそのアドバイスかもしれません。
会長の口癖は、(サントリーの前身、壽屋宣伝部出身で作家の)故・開高健さんの言葉である「悠々として急げ」。結果を出すためにスピーディーでありながらも、常に悠然とした気持ちを忘れるなと。まさに至言ですね。