国内

「高輪ゲートウェイ」名称問題 反対派の狙いは「自然淘汰」

山手線新駅の名称を考える会の3人。左から、今尾恵介さん・能町みね子さん、飯間浩明さん

「ゆめもぐら」「E電」など、鉄道事業者が利用者に使ってもらおうと提唱しながら、定着しなかった名前がある。2020年に利用開始予定の山手線新駅の名称「高輪ゲートウェイ」駅は、果たして定着するのか。反対署名を提出した能町みね子さんの行動を通して、ライターの小川裕夫さんが駅名の行方について考えた。

 * * *
 日本を代表する鉄道路線と言っても過言ではない山手線。2020年には、山手線で30番目となる高輪ゲートウェイ駅の開業が予定されている。

 山手線らしからぬ新駅名が公表されたのは、昨年12月4日。誰も予想しなかった「高輪ゲートウェイ」という奇抜な駅名が決まった直後から、テレビ・新聞・雑誌・ネットには「ダサい」「山手線らしくない」etc 高輪ゲートウェイに対する違和感や批判、新駅名を茶化す声が溢れた。

 山手線は、JR東日本が運行する路線。ゆえに、山手線の駅もJR東日本が所有・管理している。となれば、当然ながら駅名もJR東日本が決める。

 建前では、そうなる。だから高輪ゲートウェイという駅名が気に入らなくても、利用者は受け入れざるを得ない。しかし、「駅は公共機関。名前が気に入らないからと言って、利用しないわけにはいかない。そうしたことを踏まえると、もっと万人から愛される名前にしなければなりません」と語気を強めるのはエッセイストの能町みね子さんだ。

 駅名発表から7日後、能町さんは「考えていたら、行動できなくなる」という思いから取るものもとりあえず、オンライン署名サイトChange.orgで新駅名の高輪ゲートウェイに反対する賛同者を募った。

 能町さんの呼びかけに対して、約一か月間で4万7930筆もの署名が集まった。こうした声に押される形で、能町さんは地図研究家の今尾恵介さんや国語辞典編纂者の飯間浩明さんとともに”山手線の新駅名称を考える会”を発足させる。

 そして、3月27日に新宿にあるJR東日本の本社を訪問。集まった反対署名を提出した。

「当会が集めたのは、あくまでも『高輪ゲートウェイ』という駅名撤回を求める署名です。そのため、対案の駅名”高輪”を出す必要はないと考えていました。しかし、JRの一般公募でも高輪がダントツの1位であり、もっとも適切だとの結論に至ったので、新駅名として高輪を提案することにしたのです」(能町さん)

 新駅名に”高輪”を望むのは、決して山手線の新駅名称を考える会の独善ではない。2014年に山手線に新駅計画が発表されると、新駅が立地する東京・港区の区議会も”新駅名をJR高輪駅とすることを要望する請願”を採択した。

 港区議会は、JR東日本に「高輪駅は地元の総意」であることを伝えようとした。しかし、このときは「まだ計画が発表された段階で、何も決まっていないから」との理由で請願の受け取りを拒まれている。

「全国には変な駅名がいっぱいあります。『高輪ゲートウェイを撤回させるなら、ほかの変な駅名も撤回させるつもりなのか?』という声をいただきます。もちろん、全国には高輪ゲートウェイのような奇抜な駅名があることも承知しています。しかし、高輪ゲートウェイは日本を代表する山手線の駅名です。北隣の田町駅は、1日の平均乗車人員が15万人を超えます。南隣の品川駅は、さらに多い乗車人員です。高輪ゲートウェイ駅も1日に10万人程度の利用者が見込まれるわけですから、同じレベルで語ることはできません」(同)

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン