「オレの消しゴム返せよ、鈴木さん!」「佐藤さん、掃除サボんなよ!」──。小学2年生の孫の授業を参観した埼玉県在住のAさん(68)は、やんちゃ盛りの男子児童同士の会話に違和感を覚えた。孫の学校では、先生が児童に呼びかける際も男女を問わず“さん付け”で、子供同士の会話もそれに倣っている状況だ。教育評論家の石川幸夫氏が解説する。
「2013年に施行された『いじめ防止対策推進法』以降“あだ名禁止”の学校が現われ、さん付けも広まった。名簿を男女別にせず、クラス全員の五十音順などで並べる方式にする学校も増えました。性差別を生まないための配慮のようです」
また、「起立、礼」で始まると思った授業も「号令はかからず“よろしくお願いします”で始まった」(Aさん)というのである。
元小学校教諭で教育評論家の親野智可等氏によれば、「号令による挨拶を“軍隊式の強制”と捉える向きもあり、廃止した学校があります。同様の理由で、体育の授業で笛を吹くことも少なくなりました」という。