衝撃の逮捕劇から4か月あまり。日産自動車が信頼回復への第一歩を踏み出そうとするなか、かつて“カルロス・ゴーンの右腕”と呼ばれた男が重い口を開いた。副社長、共同会長としてゴーン体制を支えた小枝至氏(77)。同氏が見た、カリスマ経営者の実像とは──。同氏が90分にわたって激白した。
日産の新体制が始動する。3月27日には、外部有識者らで構成される「ガバナンス改善特別委員会」が報告書を公表。特別背任などの罪で起訴されたカルロス・ゴーン被告(65)が長く務めた会長職の廃止を提言する内容などが盛り込まれた。
4月8日の臨時株主総会では、ゴーン氏の取締役解任が議決される見込みだ。これに対しゴーン氏は4月中に会見を開くことを代理人が明らかにし、徹底抗戦の構えを崩していない。
もともとは、経営破綻の瀬戸際にあった日産の再建のため、資本提携した仏ルノーから送り込まれたのがゴーン氏だった。代表取締役兼COO(最高執行責任者)に就任したのは1999年6月のこと。「リバイバルプラン」で大胆なリストラ策を断行し、日産は驚異的なV字回復を遂げる。
ゴーン氏が着任する1か月前、副社長に就任したのが小枝氏だった。小枝氏は改革の命脈である購買、収益管理を担い、社内の“嫌われ役”も引き受けた。2003年6月には共同会長に就任。翌年には“業界の顔”である日本自動車工業会会長も務めた。現経営陣はじめ日産関係者から一目置かれる大物OBだ。
「事件発覚以来、私は沈黙を守ってきました」
ゴーン氏の逮捕後、初めてとなるインタビューに応じた小枝氏は、穏やかな表情で、ひとつひとつ言葉を選ぶように話し始めた──。