演歌歌手・森昌子(60)。いかなる心境の変化が芸能界からの引退という決断に至らしめたのか──。
「細谷小学校2年、ま~ちゃんです!」。3月11日、地元・宇都宮公演の幕が上がると、ピンクのつなぎを身にまとい、赤いランドセルを背負った“少女”がズカズカと登場。大声でたどたどしく挨拶すると、会場は爆笑の渦に。約50分間に及ぶコントが始まった。
1971年、13歳で『スター誕生!』(日本テレビ系)の初代グランドチャンピオンに輝き、翌年『せんせい』でレコードデビュー。山口百恵、桜田淳子と「花の中3トリオ」と呼ばれ、歌謡界を席巻。『NHK紅白歌合戦』に当時最年少の15歳で初出場を果たし、27歳で司会兼トリも務めた森昌子のステージは、4年前から激変していた。
「何かがプッツンしたんでしょう。頭の血管が何本か切れちゃったのかもしれませんね(笑い)。初めてあの姿で出ていった時、お客さんは『どうしちゃったんだろう?』ってポカーンとしていました。それでも気にせずやり続けていたら、定着していったんです」
べらんめえ口調でまくしたて、八代亜紀などの歌マネも取り入れるコントは、どのように生まれたのか。
「芸能活動を休んでいた20年間、ファンの方同士が集まって昔の雑誌などを見て、当時を懐かしんでくれていたそうです。復帰後も笑顔で温かく迎えていただきました。そんな皆さんにどうしたら楽しんでもらえるか日夜考えていたら、スタッフに『普段の昌子さんが一番面白い』と言われて。その言葉がヒントになって始まったんです」