プロ野球の順位予想に関して、評論家たちの出身球団によってどんな予想の“傾向”が見られるのだろうか。データ分析家の岡野誠氏が、スポーツ新聞6紙(東京版)とフジテレビCS『プロ野球ニュース』の評論家75人のセ・リーグ順位予想を徹底解析する。(後編)
【*1敬称略 *2 評論家名後のカッコ内は現役時代の最長実働球団 *3 スポーツ紙と『プロ野球ニュース』の2つに出演した評論家で順位を入れ替えている場合は最新の日付を優先。川上憲伸氏については後述する】
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昨年最下位の阪神を優勝予想した評論家もいる。吉田義男、藤田平、狩野恵輔(以上、阪神)の3人だ。
吉田は「阪神は下馬評は低いが、若手がそろってくればわからない。その力を引き出すのが、矢野監督の仕事ですわ」(3月27日・ニッカンスポーツ・コム)と優勝理由とは思えないコメント。
3月27日付のデイリースポーツを読むと、狩野は順位予想の解説の冒頭で〈阪神は戦い方一つで大きく変わってくる〉と多方面からのツッコミを警戒したかのような文章で始まる。その後も、〈投手力を前面に出し、1-0で勝つような野球ができるかどうか〉〈矢野監督に変わったことで、継投とか楽しみな投手起用が増えてくるのではないか〉と、予想というよりも願望が伝わってくる。
同紙では、監督も歴任した藤田がいきなり〈阪神は優勝できる〉と力強く宣言。理由として、〈野球は投手力。先発陣に西とガルシアが加わったことが大きい〉〈打線でのプラス要素は新人の近本と木浪〉と阪神内の変化を挙げているが、他球団との比較はない。新聞の文字数の都合もあるが、全編に渡って阪神の話に終始している。こうなると、文末の〈新外国人のマルテは、ストライクゾーンがよく見えている印象〉という評価もなぜか不安になる。
評論家といえども、人の子。順位予想には、感情が入り交じるのだろう。吉田、藤田、狩野の3人からは並々ならぬ阪神への愛情を感じる。