4月は、どの学校でも新年度がスタートする。新入生は、新しい学校生活への期待に胸を膨らませていることだろう。一方、1つ学年が上がった在校生は、年度初めのクラス替えや、新しい担任の先生の発表などで、気もそぞろだ。学校のクラスをテーマに、ニッセイ基礎研究所上席研究員の篠原拓也氏が、ちょっと気になる確率を2つ紹介する。
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どの学校にも、クラスが設けられている。児童や生徒は、クラス単位で授業を受けることが多い。小学生や中学生にとって、自分がどのクラスに入るかは、重大な問題だ。たいてい、仲のよい友だちは同じクラスの中でできるからだ。このことは、学校内だけに限らない。家に帰った後も、クラスの仲間どうしで遊ぶことが多い。小学生や中学生にとって、学校のクラスは、家族に次いで重要な人間集団といっても過言ではないだろう。
◆誕生日の確率
小学校の低学年クラスでは、児童の誕生日が周知されていることが多い。誰かの誕生日当日には、クラス全員でお祝いをする。たとえば、誕生日を迎えた児童は、昼の給食の際、担任の先生から「きょうは、〇〇さんの誕生日です。みんなで、お祝いしましょう。さあ、○○さん! 前に出てきて、一言どうぞ」などと、クラスメートの前でコメントを求められたりする。
さて、それではクラスの人数が30人だとして、この中に誕生日が同じ児童がいる確率は、どれぐらいだろうか?
1年は365日もあるので、たまたま児童の誕生日が重なるようなことは、めったに起こらないような気がする。しかし、次に述べるような計算をしてみると、その確率は70%以上にものぼることがわかる。
「誰かさんと誰かさんの誕生日が重複する確率」は、「全員の誕生日がばらける確率」を計算して、1からその計算結果を引き算することで求められる。
まず、児童が2人なら364/365の確率で2人の誕生日がばらける。計算してみると、この確率は99.73%となる。そこで、2人の誕生日が重複する確率は、1から99.73%を引いて、0.27%と求められる。
次に、児童が3人に増えたとする。3人全員の誕生日がばらけるためには、まず、もともとの2人の児童の誕生日が異なった上で、あらたに増えた1人の誕生日がもともとの2人の誕生日のどちらとも異なる必要がある。このような日は363日ある。そこで、364/365 ×363/365の確率で、3人全員の誕生日がばらける。
計算してみると、この確率は99.18%となる。そこで、1からこの99.18%を引いて、3人のうち誰かさんと誰かさんの誕生日が重複する確率は、0.82%と求められる。
さらに、児童の数を1人ずつ増やしていく。そのたびに、「全員の誕生日がばらける確率」を計算するときの「○/365」の掛け算の数が1つずつ増えていく。
こうして、児童が30人の場合、「全員の誕生日がばらける確率」は、364/365 ×363/365×……×336/365という計算により、29%くらいとなる。30人のうち「誰かさんと誰かさんの誕生日が重複する確率」は、1からこの確率を引いて、70%以上と求められる。
この「誰かさんと誰かさんの誕生日が重複する確率」は、もしクラスの人数が40人であれば、なんと89%にものぼる。人数が20人のクラスであっても、41%とそこそこ高い確率となる。人数が23人のクラスであれば、半分以上の確率で、誰かさんと誰かさんの誕生日が重複することになる。