スポーツ

イチロー引退、1973年生まれのロスジェネが受けた喪失感

数々の偉業を成し遂げて引退したシアトル・マリナーズのイチロー(時事通信社)

 イチローの引退でザワザワしたのは野球ファンだけではない。「1973年生まれ(同学年)の人々がどこかで心の拠り所にしていた存在が引退してしまった……」という喪失感を同年生まれの人々、特に男性は感じているのだという。第二次ベビーブーム世代でもっとも多い人数(209万人)が誕生した1973年生まれの編集者・中川淳一郎氏が、「1973年生まれの妙な連帯感と喪失感」について振り返る。

 * * *
 我々は団塊世代を除き、もっとも人数が多い年に生まれたため、常に受験でも就職でも競争が激しかったです。大卒が就職活動をしたのは1995年(現役)か1996年(一浪)が多いですが、悶絶の就活でした。定員は少ないにもかかわらず、応募者は猛烈に多いだけに、結局この時正規雇用で働けなかった同学年が今でも非正規で働いている状況です。

 先日、銀行かどこかの正社員の年齢別のグラフを見ましたが、40代がスッポリ抜けているんですよね。20代、30代、50代はそれなりの人数がいるのに、バブル崩壊後の採用者減のあおりを完全に食らった形です。そこから「失われた20年」の間に我々は20代、30代の「着々とキャリアアップをする」という青写真を達成できない状況になりました。

 しかし、就活市場が売り手市場になってから入って来た若者が着実に成長し、出世していく中、非正規の我々世代はそれを横目で見るしかなかった。小中学生の頃、アイドルは少し年上の中山美穂、中森明菜、小泉今日子などに加え、おニャン子クラブや岡田有希子、浅香唯といったあたりが大人気で、彼女達が固定化した人気を誇っていました。

 かつては「花の中3トリオ」(山口百恵、桜田淳子、森昌子)なんて存在もありましたが、「オレらの学年から誰も出てこねーじゃねーかよ!」なんて言っていた中、颯爽と現れたのが1974年生まれとはいえ、同学年の後藤久美子です。それに続いたのが宮沢りえで、この2人が当時の芸能界は席巻してくれたため一安心。しかし、この段階ではまだ女性が2人のため、男の中では「オレらの学年の男はダメなのかな……」なんて思っていたところ、突如として現れたのがイチローだったのです。

◆特別な存在である後藤久美子、宮沢りえ、イチロー、そしてもう一人

 私が大学2年生だった1994年、突如としてプロ野球史上初のシーズン200本安打を達成したイチローに我々は狂喜乱舞。以後、イチローは3年連続MVPを獲得し、「日本人野手は通用しない」と言われたMLBで見事にその定説を覆してくれました。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン