アメリカの電気自動車(EV)メーカー「テスラ」といえば、米のプレミアム車市場でメルセデス・ベンツやBMWも凌ぎトップに君臨しているが、日本では車体の大きさや価格の高さから一部の富裕層にしか売れていない。果たして今後、日本で存在感を高めることができるのか。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏がレポートする。
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EV専業メーカーとして名を馳せたアメリカのテスラモーターズの日本法人、テスラジャパンは今夏、EVの新商品「モデル3」を日本に導入する。
全幅1.85mと、モデル3が属するプレミアムミッドサイズとしては標準的な寸法で、大型サルーンの「モデルS」、大型SUVの「モデルX」など、全幅2m近くに達していた既存のモデルと比較すると、日本への適合性ははるかに高い。テスラジャパンのセールスダイレクターは「モデル3の発売を機に、日本市場に本格的に切り込みたい」と、意欲を示した。
そのテスラのラインナップに、さらに新しいモデルが加わることになった。3月14日に本国アメリカでプレビューされたSUVタイプのEV「モデルY」である。
モデル3に近い寸法の、テスラとしてはコンパクトなボディながら、ハイルーフにしたことでその中に3列7座のシートを配置することを可能にした。価格は3万9000ドル(448.5万円/1ドル115円換算)からと、ガソリン車のプレミアムミッドサイズSUVと同等に設定している。
これまで日本で販売されてきたテスラ車は大型サルーンの「モデルS」と大型SUVの「モデルX」の2車種のみ。全幅2m近いアメリカンサイズのボディで価格も高い。ディーラーが東京、愛知、大阪、そして昨年加わった神奈川の4拠点しかないことと相まって、販売台数は少数にとどまっているものとみられる。モデル3とモデルYがテスラジャパンにとって、販売を一気に拡大させるための期待の星と言うべき商品であることは間違いないだろう。
果たしてモデル3、将来登場するモデルYは、テスラの思惑どおりに売れるのか──。