いよいよクラシック初戦、3歳牝馬による桜花賞。昨年はアーモンドアイがここを勝って牝馬三冠を達成したうえ、ジャパンカップまで勝って年度代表馬になった。GIレースが続くなか、平成競馬を回顧しつつ、レースごとの特徴を探っていく。競馬歴40年のライター・東田和美氏が、平成競馬のキーワード「西高東低」についてお届けする。
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桜花賞は関西馬25勝、関東馬5勝。「昭和の末期」である1987年(昭和62年)から2003年(平成15年)まで関西馬が17連勝している。“地の利”がある桜花賞だけでなく、平成は“西高東低”の時代だった。GIレースで関東馬が勝ち星で上回っているのは安田記念だけ。とくに3歳クラシックでは関西馬が圧倒している。
それでも、平成2年までの桜花賞では、関東馬が1番人気だったり、2着3着に食い込んでいたりした。しかし平成3年の3歳(当時は4歳)牝馬戦線は、まさに関西馬一色となった。1月27日に東京競馬場で行なわれたクイーンC(GIII)では、ただ1頭関西から参戦したスカーレットブーケ(ダイワメジャー、ダイワスカーレットの母)が圧勝。インタビューで桜花賞への期待を訊かれた武豊騎手は「関西にはまだまだ強い馬がいる」というような控えめなコメント。当時重賞以外の馬券は全国発売されていなかったこともあり、関東の競馬ファンはこの言葉に驚いた。
その通り桜花賞には強力な関西牝馬が集結、とくに人気は5頭に集中した。1番人気イソノルーブルは5戦5勝、2番人気ノーザンドライバーは6戦4勝、3番人気スカーレットブーケは6戦3勝、5番人気のミルフォードスルーも7戦3勝で、この4頭はこの時点でそれぞれ重賞を2つずつ勝っていた。