新年度が始まり、安倍政権肝いりの「働き方改革関連法」が施行された。残業時間の上限規制や年次有給休暇の取得義務化、同一労働同一賃金などが定められており、一見、労働者に優しい改革のように見える。が、経営コンサルタントで『50代からの「稼ぐ力」』著者、大前研一氏は「いま50歳以下のサラリーマンは“国に見捨てられる”という危機感を持て」とアドバイスする。
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公的年金の受給開始選択年齢を70歳以降に引き上げようとする動きや、年金受給者、サラリーマンを狙い撃ちにした増税の動きなどを踏まえると、いま50歳以下のサラリーマンは「国に見捨てられる」という危機感を持ち、「会社から給料をもらっている」うちに定年退職後の備えをしておかねばならない。
定年退職後も10年以上年金がもらえないという最悪の事態を想定し、「死ぬまで」自分で稼げるようにすることは、これから最も大切なスキルとなる。
そこで重要なのは、まず「自分はこういう人生を送りたい」という明確なライフプランを定めることだ。
日本人の多くは、学校で社会に出た後の「生き方」を教えてもらう機会がない。教師というのは学校の外で仕事をしたことがないのだから、教えられるはずもない。そのため、多くの人が「自分はこういう人生を送りたい」というライフプランを持っていないし、社会に出てからも上司など身近なところに「あの人のようになりたい」という事例が少なすぎる。
したがって、大半の日本人は「漠たる将来の不安」を感じ、老後にお金があっても人生を楽しむために使わず、さらに貯蓄に励むので、「死ぬ瞬間が一番金持ち」になっている人が少なくない。
どういう人生を送りたいのかというライフプランがなく、漠然とした(というか、いざという時のための悲観的な)ファイナンシャルプランがあるだけで、貯めたお金の使い方が分からないから、そうなってしまうのだ。