日産自動車・元会長のカルロス・ゴーン容疑者が特別背任容疑で再逮捕された後、フランスに帰国していたキャロル夫人が10日夜に再来日。翌11日、東京地裁での証人尋問に出頭した。
「この“電撃再来日”は、捜査を進める東京地検特捜部にとって、むしろマイナスのほうが大きいでしょう」(大手紙社会部記者)
ゴーン容疑者は日産の子会社の資金を自身に還流させた疑いで再逮捕となったが、資金の一部はキャロル夫人が代表を務める会社に流れていた疑いがある。再来日で取り調べが可能になれば、真相解明に近づきそうなものだが、必ずしもそうではないというのだ。特捜事件に詳しいジャーナリスト・伊藤博敏氏が解説する。
「かつての特捜なら、被疑者本人に“女房を幇助でパクることもできるんだぞ”といった揺さぶりをかけたり、実際に家族に厳しい取り調べをかけたりして、自白に追い込んでいく手を使っていましたが、取り調べの可視化が進み、露骨な脅しはできない。キャロル夫人サイドは、強引な聴取、ましてや背任の共犯での夫人の逮捕など到底できないと踏んで、“堂々と反論する姿”をアピールすべく再来日したのでしょう」
仮に夫人への聴取で特捜部が強引な手法を取れば、ゴーン容疑者サイドにとっては世界に「人権を無視する日本の検察」を発信するまたとないチャンスとなる。