「人は血管とともに老いる」は、医学界では決まり文句になっているという。人体で最大の“臓器”ともいわれる血管は、あらゆる体の不調と密接なかかわりを持っている。工藤内科副院長の工藤孝文さんが言う。
「加齢や生活習慣の乱れによって、血管が硬くなると心筋梗塞や高血圧を引き起こすリスクが高まり、最悪の場合死に至る可能性もあります。また、血液がドロドロになって循環が悪くなると、体の隅々まで栄養や酸素が届かなくなる。栄養が行き渡らなくなった結果、細胞や脳の老化が進み、がんや認知症を発症する原因にもなりかねません」
つまり血管が若さと健康を保っていれば、これらの病気のリスクは大幅に減るということ。
南和友クリニック院長で心臓外科医の南和友さんは「リスク回避のためにまず取り組みたいのは食事内容の改善」だという。
「血液も血管も、食べたもので作られる。血管にいい食材をきちんと食べることで、年を重ねても老いない健康な血管を保つことができるのです」
そこで本誌・女性セブンでは、循環器と栄養のプロ25人に「血管力を上げる食べ物」を挙げてもらい、1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として集計した。その結果、「本当に血管にいい食べ物」は、1位いわし(42点)、2位納豆(29点)、3位さば(23点)、4位シナモン(14点)、4位くるみ(14点)、6位トマト(13点)となった。
1位のいわし、3位のさば、11位のかつお・あじとランキングを見渡すと魚の健闘がうかがえる。立命館大学スポーツ健康科学部教授の家光素行さんは、「血管力を高める代表的な食品は、青魚です」と断言する。
「いわしやさばに代表される青魚に豊富に含まれるEPAやDHAには中性脂肪を減らし、血液をサラサラにしてくれる効能があります」
基本的に、青魚にはどれも含まれている成分であるため、好きな魚を選んでいいが、薬剤師で栄養学博士の宇多川久美子さんはかつおを推奨する。
「おいしく食べるなら、今が旬のかつおがいい。旬のものは栄養も豊富です。ただし、EPAとDHAは“オメガ3系”と呼ばれる油と同じ成分を持っている。そのため、油を使って調理すると溶け出してしまう。食べるならお刺身がいいでしょう」