講談の枠を大きく超えて活躍し、講談界に新風を巻き起こしてきた神田松之丞が来年2月、真打に昇進することが落語芸術協会の理事会で決定した。
二ツ目でありながら独演会では完売が相次ぎ「今、もっともチケットが取れない講談師」「講談界の風雲児」が枕詞となっている松之丞。所属する落語芸術協会では、7人抜き昇進の落語家・春風亭昇太以来の28年ぶりとなる9人抜きの抜擢昇進、日本講談協会では18年ぶりの男性講談師の真打誕生となる。
「ありがたいことです。芸は未熟ですけれども、現在の自分は二ツ目の寸法には合っていないとは感じていました。ようやく認めてもらい、頑張るぞという気持ちを新たにしました」
来年2月から新宿末廣亭中席夜の部を皮切りに、都内の寄席、演芸場で40日以上の真打披露興行が行なわれる。それに加えて、以前から披露興行をやりたいと公言してきたのが歌舞伎座だ。古典芸能のシンボルである歌舞伎座に、講談師が登場した例はまだない。
「講談と歌舞伎は歴史的に関係が深く、歌舞伎役者だった師匠・神田松鯉(しょうり)への恩返しにもなりますし、講談界にとっても大きな花火になると思います」