1970年代を駆け抜けた伝説の歌姫・山口百恵と、“ナンノ”の愛称で今も一線で活躍する南野陽子。ともにトップアイドルとして一時代を築いた彼女たちのヒット曲を手掛けた音楽プロデューサーの川瀬泰雄氏(元ホリプロ)と吉田格氏(元CBS・ソニー)に、とっておきのエピソードを聞いた。
──百恵さんは「時代と寝た女」とまで言われました。
川瀬:彼女は並外れた集中力の持ち主で、レコーディングは大体3テイクでOK。過密スケジュールの中での歌入れは毎回真剣勝負だったので、ある時その様子を撮影した篠山紀信さんが「すごい緊張感だ」と驚いたほどです。とはいえ、仕事が終われば普通の女の子なんですけどね。
そういえば「スター交歓図裁判(*)」(1979年)で、百恵が原告として出廷したことがあったじゃないですか。記者会見では落ち着いていましたけど、その直後に会って「どうだった?」と訊いたら「本当は怖かった。でも泣いたら山口百恵じゃないもんね」って。当時20歳ですよ。そのセルフプロデュース力はすごいと思いましたね。
【*月刊誌が掲載した、芸能人たちの性的な行為をイラストなどで表現した記事に対し、山口百恵や桜田淳子、西城秀樹らが告訴。裁判に証人として出廷し、編集長らに有罪判決が下された】