いよいよ改元が近づき、前例のない「10連休」がやってくる。子供は「学校が休める」と大喜びだが、社会人である大人の気分は微妙だ。連休の前後に仕事のしわ寄せがくるのは間違いないし、連休中に家族連れでレジャーに出れば、どこも大混雑。観光関連や飲食業のようなサービス業に就いていたら、逆に10連休の間は休みが取れず、猛烈に忙しくなる。専業主婦からも、「夫と子供がずっと家にいるのは勘弁してほしい」という声が聞こえてくる。
しかも、このゴールデンウイーク(GW)10連休が景気に水を差す、との予測もある。第一生命経済研究所の首席エコノミスト・永濱利廣氏は、GW後に日本経済は景気後退モードへ移行すると予測している。
「10連休が景気に与える影響には、プラスとマイナスの効果がある。プラス面は、娯楽やレジャー、外食などへの消費支出が増えること。JTB総合研究所の『2019年ゴールデンウィークの旅行動向』によれば、今年のGWの国内と海外を合わせた総旅行消費額は前年比3.7%増の1兆610億円で、2018年実績より約378億円増加すると予測しています。その他のレジャーや外食などを合わせると、おそらくGDPを0.1%ほど押し上げる効果があるでしょう」(永濱氏、以下同)
観光関連や飲食業が好景気に沸くのは当然だが、プラス効果として挙げられるのはそれくらいしかないという。
問題は、GW10連休後に起きるマイナス効果だ。メディアでは「経済効果」という言葉がよく使われるが、これは「どれだけお金を使ったか」で試算される数字で、「お金を使ってしまったこと」によるマイナス効果は考慮されていない。
「つまり、例年よりGWの旅行に378億円多く支出してしまうことで、GW後は節約モードに入り、消費が冷え込む可能性が高いということです。しかも、GW明けの5月20日に発表される1-3月期のGDP成長率はマイナス2%程度になると予想されていて、メディアでは『景気後退』が報じられるでしょう。これはGWとは関係ありませんが、連休明けの節約モードに拍車をかけると考えられます」
GDPの押し上げ分など吹き飛んでしまうと考えられるのだ。