全体重をボールにぶつける豪快なスイングで通算567本塁打を放ち、40歳を超えても活躍したことで「不惑の大砲」と呼ばれた門田博光氏(71)。31歳で右アキレス腱を断裂した後に、「走られへんのやったらホームランを打ったらええ」と長打にこだわるプレースタイルを貫いた。そんな門田氏が指名した“令和の大砲”へのメッセージ。
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ボクの持論は、背筋が柔らかくて、背中を大きく反り返らせるフォームの持ち主、つまり背筋を使って体重移動できるバッターが、真のホームランバッターだというものです。
その意味では、ソフトバンクの柳田悠岐(30)。すでにホームランバッターとして独り歩きできるだけの実力を持っていますが、インパクト後の大きなフォロースルーの手本として、元レッドソックスのオルティズ(通算541本塁打)とボクの連続写真をロッカーに貼ってくれているそうです。2013年にソフトバンクの始球式をした時に記者から聞いて、嬉しかったですね。
柳田は今年でプロ9年目、31歳になる。ボクがアキレス腱をケガした年齢です。プロの第一線で戦い続ければ、ケガはつきもの。体をしっかりケアして、40代、いや50代までずっと今と変わらない成績を残してもらいたいですね。彼はそれだけのポテンシャルを持った選手だと思います。
ボクは44歳で引退するまで、シーズン60本は打ってやろうと打席に入っていましたからね。前後に強打者がいなかったので、相手ピッチャーも4番に対する集中力が半端じゃなかった。それでも4番打者には、一発で仕留めなければいけない場面で確実に仕留める集中力が必要です。ソフトバンクの強力打線だからといって、柳田は“自分が打たなくても後ろが返してくれる”なんて思ってはいけない。