国際情報

韓国が主張する「日本人が竹島のアシカ絶滅させた」は本当か

竹島のアシカを絶滅させたのは日本人ではなかった(EPA=時事)

「独島(竹島)はわが領土」と主張し、小学校の低学年から領土教育に力を入れる韓国では、「日本人が独島のアシカを絶滅させた」という通説がある。が、それは濡れ衣だという。著書『韓国「反日フェイク」の病理学』が話題の韓国人ノンフィクション・ライター崔碩栄氏が、「竹島のアシカ絶滅の真相」を解説する。

 * * *
 最近の韓国の小中高の歴史教科書を見ると、私が学生だった1980年代との大きな違いを感じる。私の中学・高校時代には教科書で一字も見られなかった「独島」(日本名:竹島)、「慰安婦」などについての記述が非常に「充実」しているのだ。私が学んだ頃の教科書では、「独島」は地理の教科書に名前が記されるだけで歴史の教科書には登場していなかった。そして、「慰安婦」は社会的にも話題にさえなっていなかった。

 さらに、近年になって新しく追加された内容がもう一つある。独島に生息していた「カンチ(海驢:アシカ)」に関する内容である。カンチは現在、絶滅状態にある。

 カンチという名前は、韓国人にはあまり馴染みのあるものではない。私も2000年代以降になって初めてこの名前を聞いたように思う。そんなカンチがなぜ「生物」や「地理」ではなく「歴史」教科書に載るようになったのか?

 韓国の新聞記事を調べてみると、2000年代以前に「カンチ」という名前は、ほとんど見当たらない。カンチという名前が急に韓国社会に広がり始めたのは、島根県議会が2005年に2月22日を「竹島の日」とする「竹島の日を定める条例」を賛成多数で可決した時からだ。韓国が島根県の措置に反発し、「独島は韓国の領土」であることを強調する材料として登場させたのだ。

 2005年以降「カンチ」という動物は、韓国のテレビと本を通じて繰り返し報道、宣伝されたために、現在では子供たちや若者たちにはかわいい海の動物として馴染み深い存在となった。絵本や漫画はもちろん、教科書にまでカンチは可愛くてキュートな動物として描かれており、全国各地に建てられた独島体験館(子供たちに独島に関する情報を伝える学習館)にはカンチの模型も置かれている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月20日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン