国内

あの「督促OL」が伝授 クレームや理不尽な要求への言い返し方

コールセンターの督促OLが伝授 クレームや理不尽な要求への“言い返し方”

 奥ゆかしさや慎み深さが美徳とされた日本は「今は昔」か。クレームや理不尽な要求を繰り返す“モンスター”は格段に増えた。クレーム電話がつきもののコールセンターでも、寄せられるクレームは年々増加している。その要因の1つがインターネットの台頭と普及だ。近年あらゆることがインターネットで行えるようになったため、実店舗の数を減らし販売窓口をネット上に移行している企業も多い。

 今や顧客からアクセスできる唯一の窓口がコールセンターという企業も多く、クレームやトラブルが起きた場合は、まずコールセンターに連絡することになる。そのためコールセンターでは、突然客から怒鳴りつけられることも日常茶飯事だ。

 ひと昔前のクレーム対応は、ひたすら謝罪だったが、今はしっかりと「言い返す」流れに。貴重なオペレータを守るべく法的手段も取り入れるようになったという。そこで、クレーマーからオペレータの心を守る独自メソッドを開発した『督促OL』こと榎本まみさんに、客からのクレームや上司からの理不尽な要求などへの言い返し方を教えてもらった。

 * * *
 一昔前、私が新卒でコールセンターに入社した頃は、クレーム対応といえばひたすら謝罪を繰り返すことが一般的だった。2~3時間怒鳴られても言い返さずそれに耐え、なんとか相手の気持ちに寄り添い解きほぐす。罵倒されても恫喝されても、ただただ我慢していた。

 ちなみにコールセンターのオペレータの仕事は「感情労働」の一つとされているが、2015年の韓国での調査で、コールセンターのオペレータは「最もストレスが高い感情労働の職種」であると認定された。コールセンターのオペレータというのは、それだけ感情の抑圧が求められる仕事なのだ。

 けれど近年、コールセンター業界では変化が起こっている。それは、不当なクレームに対しては「要求を毅然と断る」「司法手段に訴える」といったように、謝罪以外の対応を行うコールセンターが現れたのだ。

 例えばクレーマーの中には何度断ってもしつこくコールセンターに電話をかけ、些細なことで難癖をつけオペレータを詰問することを繰り返している顧客もいる。そこでとある保険会社のコールセンターでは、何度もクレーム電話をかけてくる顧客に対しては弁護士へ対応を委任するようにした。これにより、コールセンターでオペレータが何時間も怒鳴られ続けるということが無くなり、その時間を正当な業務に充てられるようになった。

 カスタマーハラスメントという言葉も最近はよく聞くようになった。オペレータは今まで我慢する・耐えるということを強いられてきたが、それが少しずつではあるが、「オペレータだって、理不尽な要求にはNOと言っていいのでは?」という空気に変わってきているのだ。

 そして、コールセンターに限った事ではなく、社会全体で少しずつ「弱い立場であっても理不尽なことにはNOと言おう」という空気が生まれているように感じる。けれどやはり弱い立場で強者に言い返すことは難しい。ビジネス的に当たり障りなく、不当な要求に言い返すにはどうすればいいのだろうか。ここではコールセンターで使用しているテクニックを例に、弱い立場にいる人が、強い立場にいる人に言い負かされないための返し方を紹介したい。

◆クレームには反射的に謝らない

 顧客からクレームを受けたとき反撃するためにまず大切なのは、反射的に謝らないことだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
稽古まわし姿で土俵に上がる宮城野親方(時事通信フォト)
尾車親方の“電撃退職”で“元横綱・白鵬”宮城野親方の早期復帰が浮上 稽古まわし姿で土俵に立ち続けるその心中は
週刊ポスト
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト