統一地方選から休む間もなく、永田町は7月の参院選に向けた臨戦態勢に入った。地元企業、労働組合、宗教団体……さまざまな集票組織がひしめく中、政治家が絶対手を出してはいけない“禁断の果実”が暴力団である。だがいけないと知りながら、ヤクザに頼ってしまう政治家は後を絶たないという。ノンフィクション作家の溝口敦氏とフリーライターの鈴木智彦氏が、政治家とヤクザの繋がりについて語りあった。
鈴木:政治家とヤクザは、ちょっと前までは不可分の関係でした。2000年頃かな、住吉会系の事務所の組長にインタビューしてたら、「ピンポーン」とベルが鳴って、若い組員が話してるんですよ。そうしたら組長が今も現役の国会議員の名前を挙げて、その秘書だと。選挙のお願いに来ていたみたいだった。
溝口:暴力団は組員を動かして本来は選挙に行かないような人たちを投票に行かせられる。集票組織として使えるわけです。
かつて六代目山口組が、弘道会(司忍・六代目山口組組長の出身母体)を中心に「民主党を推そう」ということになって、動いたことがあったんです。2007年の参院選の頃でした。
鈴木:ありましたよね。民主党が打診したわけでもないのに、なんであんな動きをしたんでしょう。
溝口:弘道会系のフロント企業(暴力団が経営に関与する企業)と、民主党の支持基盤である企業労組との関係があったんじゃないか。そこで、恩を売るために動いたということだと思います。弘道会なんかは、組員以外にも家出してぶらぶらしているような若者たちに事務所でタダ飯を食わせて組員や周辺層にするといったことを長年やってきた。彼らに住民票を移させて選挙にも動員していた。