中国で約3年前に起こった母親殺しの犯人が4月下旬、四川省重慶市の江北国際空港で逮捕されていたことが明らかになった。
逮捕されたのは中国最高の名門大学・北京大学に通っていた呉謝宇(24)で、殺されたのは福建省福州市で中学校の教師をしていた実の母親だ。呉は逃走していた1379日間で、北京市や福建省、上海市など各地を転々としており、捕まった重慶市ではバーの従業員として売春の手引きも行うなど、ポン引きになっていたという。
呉の逮捕のきっかけは江北国際空港で、警戒に当たっていた捜査員がAI(人工知能)を用いた監視カメラが捉えた呉の姿を識別し、呉が殺人で指名手配されていることを確認したことだ。捜査員が現場に急行し、呉を緊急逮捕した。
警察は2016年2月、母親殺しの犯人として呉を指名手配しており、呉の行方の情報提供者に5万元(85万円)の賞金を懸けていた。だが、呉は評判の孝行息子で成績もよく、幼いころ父親を亡くして母一人子一人で仲が良い母子と知られているなど、呉の犯行動機には不可解な点も多く、中国メディアは迷宮入りかと報じていたなかでの急転直下の逮捕劇だった。
事件は2015年7月11日、福建省福州市にある中学校の教室で起こった。当時、北京大生だった呉は、母親が教職員として勤務していた学校の教室で彼女を殺害し、遺体をビニールで何重にも包み消臭剤で臭いを消して、そのまま遺体を隠したという。
さらに、母親の名前を使ってSNSで親戚に連絡をしたり、母親が自分に送った手紙の文字を切り取って繋ぎ合わせ退職届を作成し、母親の勤務先に送付するなど、事件の発見を遅らせる偽装工作を行った。