国内

小池百合子都知事が「都庁の重鎮OB」を特別秘書に起用した理由

小池百合子都知事は難局に備えて手を打った(時事通信フォト)

 東京五輪を来年に控えた今に至っても、都政が芳しい状況にあるとは言い難い。都議会自民党は小池百合子都知事への反発を強めている。さすがにこのままではまずいと感じたのであろう。小池氏が動いた。都政に詳しいジャーナリスト・広野真嗣氏がレポートする。

 * * *
 小池百合子都知事は、自身の最側近となる「政務担当秘書」に大物の元東京都副知事をあてる「令和最初の人事」を5月中旬に発令する。「忖度だらけのふるい議会を新しく」とぶちあげ都議選に圧勝して2年。足元の都政停滞を打開するため、都議会自民党のドンとも関係の深い都庁官僚を重用するという策に出た。

◆自民党との障害を取り除く

 かつて小池知事は都議会自民党や旧来の都庁の組織を「ブラックボックス」と批判しまくって都民の期待を一身に浴びたが、最近は対立の芽を取り除くのに躍起だ。

 昨年春には都政運営の要に据えて批判の的だった外部有識者のための特別顧問ポストを廃止。今年3月には自民党との対決型選挙の指揮をとってきた政務特別秘書の退任人事を発表した。空いた政務特別秘書ポストに今月からおさまるのが、元副知事の村山寛司氏(68)。4月26日の会見で小池氏は「非常に経験の深い方」「職員からの信頼も厚く政策面での活躍を期待している」と述べた。

 村山氏は東北大卒業後、1974年に入庁。政策部長や行政部長など知事官房のメーンストリートを歩んだ後、財務局長を経て2010年から2年間にわたって副知事を務めた。

 官僚人生を終えた後も日本自動車ターミナル社長、東京地下鉄副社長、東京信用保証協会理事長(全国信用保証協会連合会会長を兼務)と都庁官僚の再就職先の王道を歩き、今月にも東京都住宅供給公社理事長ポストへの転身も噂されていた。

 都政の万端に精通した戦略家で知られ、「先を見通す思慮深さは歴代副知事経験者でもピカイチ」(都庁人事に通じたジャーナリスト)との評価も高い。ただ慎重さが持ち味の重鎮が、「都庁の人事の秩序に不協和音が出るような就任要請をなぜ受けたのか」(部長クラス)と驚きの声も同時に上がっている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

東日本大震災発生時、ブルーインパルスは松島基地を離れていた(時事通信フォト)
《津波警報で避難は?》3.11で難を逃れた「ブルーインパルス」現在の居場所は…本日の飛行訓練はキャンセル
NEWSポストセブン
別府港が津波に見舞われる中、尾畠さんは待機中だ
「要請あれば、すぐ行く」別府湾で清掃活動を続ける“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(85)に直撃 《日本列島に津波警報が発令》
NEWSポストセブン
宮城県気仙沼市では注意報が警報に変わり、津波予想も1メートルから3メートルに
「街中にサイレンが鳴り響き…」宮城・気仙沼市に旅行中の男性が語る“緊迫の朝” 「一時はネットもつながらず焦った」《日本全国で津波警報》
NEWSポストセブン
津波警報が発令され、ハワイでは大渋滞が発生(AFP=時事)
ハワイに“破壊的な津波のおそれ” スーパーからは水も食料品も消え…「クラクションが鳴り止まない。カオスです」旅行者が明かす現地の混乱ぶり《カムチャツカ半島地震の影響》
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月16日、撮影/横田紋子)
《モンゴルご訪問で魅了》皇后雅子さま、「民族衣装風のジャケット」や「”桜色”のセットアップ」など装いに見る“細やかなお気遣い”
夜の街での男女トラブルは社会問題でもある(写真はイメージ/Getty)
「整形費用返済のために…」現役アイドルがメンズエステ店で働くことになったきっかけ、“ストーカー化した”客から逃れるために契約した「格安スマホ」
NEWSポストセブン
牛田茉友氏はNHKの元アナウンサーだったこともあり、街頭演説を追っかける熱烈なファンもいた(写真撮影:小川裕夫)
参院選に見るタレント候補の選挙戦の変化 ラサール石井氏は亀有駅近くで街頭演説を行うも『こち亀』の話題を封印したワケ
NEWSポストセブン
大谷家の別荘が問題に直面している(写真/AFLO)
大谷翔平も購入したハワイ豪華リゾートビジネスが問題に直面 14区画中8区画が売れ残り、建設予定地はまるで荒野のような状態 トランプ大統領の影響も
女性セブン
技能実習生のダム・ズイ・カン容疑者と亡くなった椋本舞子さん(共同通信/景徳鎮陶瓷大学ホームページより)
《佐賀・強盗殺人》ベトナム人の男が「オカネ出せ。財布ミセロ」自宅に押し入りナイフで切りつけ…日本語講師・椋本舞子さんを襲った“強い殺意” 生前は「英語も中国語も堪能」「海外の友達がいっぱい」
NEWSポストセブン
大日向開拓地のキャベツ畑を訪問された上皇ご夫妻(2024年8月、長野県軽井沢町)
美智子さま、葛藤の戦後80年の夏 上皇さまの体調不安で軽井沢でのご静養は微妙な状況に 大戦の記憶を刻んだ土地への祈りの旅も叶わぬ可能性も
女性セブン
休場が続く横綱・豊昇龍
「3場所で金星8個配給…」それでも横綱・豊昇龍に相撲協会が引退勧告できない複雑な事情 やくみつる氏は「“大豊時代”は、ちょっとイメージしづらい」
週刊ポスト
NYの高層ビルで銃撃事件が発生した(右・時事通信フォト)
《5人死亡のNYビル乱射》小室圭さん勤務先からわずか0.6マイル…タムラ容疑者が大型ライフルを手にビルに侵入「日系駐在員も多く勤務するエリア」
NEWSポストセブン