ビジネス

東京五輪でも進むチケットレス化 転売対策にも有効

東京五輪もチケットレス化の見込み(時事通信フォト)

東京五輪もチケットレス化の見込み(時事通信フォト)

 2020東京五輪チケットの抽選受付が5月9日から始まる。その五輪チケットはこれまで、お札のように偽造防止のホログラム印刷などが施された紙のチケットだけだったが、東京五輪では初のチケットレスが検討されている。スマホひとつで試合観戦できるチケットレス元年を迎えたプロ野球を始め、様々なスポーツの現場ですすむチケットレス化について、ジャーナリストの西田宗千佳氏が解説する。

 * * *
 スポーツを最大限楽しむひとつの方法が、「現場」に足を運び、その場の熱狂を共有することなのはまちがいない。だから、人気のスポーツイベントのチケットは常に争奪戦になる。ある種の宿命であり、おそらくこれからも変わらないだろう。

 そんな中でもチケットそのものは大きく変わりつつある。「チケットレス化」と、それを軸にした買い方の変化である。今回は、そうした流れをまとめてみたい。

◆2019年のプロ野球は「チケットレス元年」だった

 今春、プロ野球には大きな改革があった。その一つが「一部球場でのチケットレスの導入」だ。中日ドラゴンズ・阪神タイガース・オリックスバファローズ・福岡ソフトバンクホークス・北海道日本ハムファイターズ・横浜DeNAベイスターズの7球団が、チケットとしてスマホの画面表示を使い、紙のチケットを利用しない方法を採用した。球団によって使っているサービスや購入の方法は少しずつ違うものの、スマホの画面にバーコードなどを表示し、それを球場の入り口で読み取って、紙のチケットの代わりとする。

 こうした仕組みが導入された理由は、販売のオンライン化と、入場の効率化にある。

 紙のチケットには「発券」と「確認」がつきまとう。紙に印刷されたものが本物であるかを毎回確認せねばならないので、どうしても入り口で混雑してしまう。デジタル化されたチケットの場合、正しいものか、持ち主が誰かなどのチェックを通すので偽造に強く、一人一人の確認にかかる時間も短い。現在、紙のチケットであっても、販売の多くはオンラインで処理されるようになっている。いちいち印刷することなく処理できるなら、その方がコストも手間も、当然小さくなる。

◆アメリカでは「顔認証」も。チケットレス化とキャッシュレス化が進むスタジアム

 海外でもチケットレス化の流れは進んでいる。アメリカ・メジャーリーグでは、バーコードによる入場に加え、今後は「顔認証」での入場も検討されている。

 昨年7月、メジャーリーグは指紋や顔などの「生体認証」技術によるセキュリティを提供する企業「Clear」と提携した。Clearは、アメリカの空港などで有料による「優先セキュリティレーン」を提供している企業。月額15ドルを支払うと、指紋認証で面倒なセキュリティを優先通過できるようになっていて、行列待ちをスキップできる。これと同じ技術を導入し、指紋や顔認証で「待ち時間なし」でボールパークに入れるようにしよう……というのが狙いである。

 日本ではまずバーコードから、という感じであるが、コンサートなどでは顔認証を導入しているところもあり、チケットレス化が拡大すると、日本でもより高度な認証が導入される可能性は高い。

関連記事

トピックス

自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
工藤遥加(左)の初優勝を支えた父・公康氏(時事通信フォト)
女子ゴルフ・工藤遥加、15年目の初優勝を支えた父子鷹 「勝ち方を教えてほしい」と父・工藤公康に頭を下げて、指導を受けたことも
週刊ポスト
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン