10歳0か月でプロ囲碁棋士となった仲邑菫初段。初手合いを打ち、プロとしての第一歩を踏み出したが、今後どんなプロ生活が待っているのか──。棋士の収入事情にスポットを当てて、囲碁ライターの内藤由起子氏に解説してもらった。
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4月22日、10歳の仲邑菫初段がプロデビュー戦に臨んだ。竜星戦の予選で、相手は同期入段の大森らん初段(16歳)。40社100人の報道陣が詰めかけ、インターネットで生中継されるなど大いに注目される中、大森初段が勝負どころで的確に戦い抜き、菫初段は中押し負けを喫した。
「緊張してうまく打てなかった。悔しい」と菫初段。プロ生活はホロ苦スタートとなった。
ところで、負けはしたものの、菫初段は初めてプロ棋士として「お金」を稼いだ。「対局料」だ。囲碁のプロは勝敗に関係なく、対戦すれば対局料がもらえる。トーナメント1回戦はいくら、2回戦はいくらなどと決まっていて、勝てば2回戦、3回戦……と対局料をもらえるチャンスが増えることになる。
そして、最後まで勝ち抜いて優勝すると、タイトル獲得となり、「タイトル料」が手に入る。タイトル料を手にするのは、ほんのひと握りの棋士なので、多くの棋士の収入源は、主に手合料ということになる。
菫初段が出場できる棋戦は、棋聖、名人、本因坊などの一般棋戦が9つ、新人王などの若手棋戦が2つ。そして女性だがけが参加する女流本因坊、女流名人など5つの女流棋戦の合計16棋戦。さらに、トップ棋士には国際棋戦に(ランキングなどで)選ばれて出場でき、対局機会が増えていく。
囲碁の世界は将棋と違って、男女一緒に戦う棋戦がほとんど。約500人の棋士が、もちろん対等に同じ土俵で戦う。菫初段でも勝ち上がって行けば、井山裕太四冠に挑戦し、勝てばタイトルを奪取できる道が開けている。