ヴィクトリアマイルといえば4年前を思い出す。1着が5番人気ストレイトガール、2着12番人気ケイアイエレガント、3着18番人気のミナレットで、三連単はGI史上最高、総合ランキングでも5位の2070万円! 100円が2000万円になるという夢馬券だった。競馬歴40年のライター・東田和美氏が、ヴィクトリアマイルの結果から分かる、平成の競馬を語るうえで種牡馬・サンデーサイレンスが果たした功績についてお届けする。
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ヴィクトリアマイルは平成18(2006)年に始まったばかりのGIで、まだ13回しか行なわれていないため、結果からその傾向を論じるには早過ぎるかもしれないが、3勝のみという1番人気馬の勝率は、エリザベス女王杯(平成30年間で6勝)に次いで低いし、ここ5年の単勝配当はすべて1000円を超えている。馬連が3桁(100円台)だったのも、三連単が4桁(1万円以下)だったのも、ともに1回だけ。やはり熟女間の力関係は複雑なのだろう。
栄えある第1回をサンデーサイレンス(以下SS)産駒のダンスインザムードが勝ったのを皮切りに、13頭の勝ち馬のうち11頭がSSの血を引いている。ダービーの出走馬すべてがSSの孫だったことがあるので、それほど驚くことではないかもしれないが、桜花賞・オークスの勝ち馬に1頭もいないフジキセキ産駒が4勝しているのが目を惹く。それも第2回のコイウタ、第3回のエイジアンウインズの後、中6年空けてストレイトガールが連覇を果たしている。
SSはケンタッキーダービーとプリークネスSに加え、ブリーダーズCクラシックをも勝った1989(平成元)年の米年度代表馬。2年に史上最高の16億5000万円で社台ファームが種牡馬として購入、大きな話題となった。その後の活躍は周知の通り。通算勝利数、年間勝利数、GI勝利数など、日本競馬における種牡馬記録のほとんどを更新、保持し続けている。その産駒も種牡馬として日本競馬を牽引し続けている。