国内

「摂らない方がいい油」を断つ アトピーや花粉症の改善例も

摂るべき油、断つべき油は?(写真/アフロ)

 今、食用油に熱い視線が注がれている。食品専門紙の報道によると、昨年度の家庭用油の売り上げは前年度比約8%増の1400億円超えになったという。すっかり一般家庭でも定番となったオリーブオイルは前年度比15%以上と大きく増加して、初の売り上げ400億円台を突破したほか、えごま油、米油といった新タイプの油の売り上げも急増している。中でも人気が高いのはアマニ油で、同比60%も売り上げが増えたというから驚きだ。

 健康番組や雑誌では次々に新しい油が紹介され、スーパーでも、新商品を目にすることが増えたと感じる人は多いだろう。だが、一口に「油」といっても、その役割はさまざま。時には想像以上に健康を蝕んでいることがある。

『その病気、その疲労、「隠れ油」が原因です!』(三笠書房刊)の著者で植物油研究家の林裕之さんはこう話す。

「うちの娘は幼少時からアトピーだったのですが、成人後再発して、ひどく悪化してしまいました。そんな時、たまたま油とアトピーの関連性を指摘している本を読み、試しに家族で油を断つ生活を実行してみたのです。

 すると、3週間ほどでアトピーの症状が劇的に軽減しました。その上、初夏まで使い捨てカイロが欠かせないほどの重度の冷え症や便秘、生理痛までも改善して、私自身も、40年以上悩まされていた花粉症が、ほぼ薬いらずになりました」

 林さん一家は、家庭でも外食でも、サラダ油とマヨネーズの摂取を徹底して控えていたという。サラダ油とは精製された植物油のことで、紅花(サフラワー)、グレープシード、大豆、ひまわり、とうもろこし、綿実、ごま、菜種、米の9種を原材料とする油とJASによって指定されている。

 ぜひ実践してみたいと思った人もいるだろうが、実際にやってみるとなると“断油”には、かなりの困難を伴う。

 考えてみてほしい。毎日の食卓をはじめ、ファストフード、スーパーの総菜、菓子、インスタント麺―あらゆるものに大量の、それも多種多様の油が含まれているのだ。さらに、それらのものに含まれる油の中には、「食べない方がいい」と専門家が口をそろえる「悪い油」が使われていることも多い。

 だからといって、まったく油を摂らないと体は健康を保てなくなる。日本臨床栄養協会理事で名古屋経済大学准教授でもある早川麻理子さんはこう言う。

「“油”とは脂質のことであり、たんぱく質、炭水化物と並ぶ三大栄養素の1つ。人間の体にとって、絶対に不可欠なものです。体の中で自ら作り出すことができないため、食事で摂取しなければならない“必須脂肪酸”が含まれている油もあり、体の細胞膜や生理活性物質、ホルモンを生成するために必要です」

 厚生労働省が推奨する脂質の摂取量は、全体の摂取カロリーの25%。成人女性の平均的な1日のカロリーを約1800kcalとしたら、脂質は約50g。

 大さじ4杯程度だが、食品にも含まれているため、油として摂る場合は大さじ1~2杯が適量だ。油が不足すると、体内の水分が保持できず、肌がカサついたり、皮膚炎などを引き起こす。

 人体に必要なものであることは間違いないが、「“摂るべき油”と“摂らない方がいい油”がある」と早川さんはつけ足す。その見極めを誤らないことが重要だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
漫画家・柳井嵩の母親・登美子役を演じる松嶋菜々子/(C)NHK 連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合) 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
松嶋菜々子、朝ドラ『あんぱん』の母親役に高いモチベーション 脚本は出世作『やまとなでしこ』の中園ミホ氏“闇を感じさせる役”は真骨頂
週刊ポスト
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン